オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
「で、何て答えたの?」 

私は画材と鉛筆やらをいつもより雑に仕舞いながら、冬馬の顔を見ずに聞いた。 

聞きたかったから。

「何?恋人かって話?」

「……そうだよっ、変なこと言ってないよね?」

「変なこと?別にどうでも良かったから、ご想像にお任せしますって言ったらキャーキャー言ってたな」

一瞬、心臓が跳ねるのがわかった。

あの子たちの中では、私と冬馬が恋人同士だと思われた訳だ。 

「荷物これ?」

画材やら絵の具やらが入った鞄を、軽そうに抱えて、冬馬はなんてことない顔で扉に向かって歩いていくと、入り口の電気をパチンと消した。

「明香、早くこいよ」

「冬馬、自分で持てるから」

そう言って追いかけた私は、動揺していたのだろうか、机の角に足を引っ掛けて冬馬の背中に勢いよく覆いかぶさった。


慌てた冬馬が振り返り、私を身体ごと抱きしめた。
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