オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
明香達が、ロスに渡ってから、間も無くして芽衣の妊娠が分かり、俺たちはすぐに籍を入れた。そして芽衣の卒業を待ってから、式を挙げた。

流星が、生まれてからも、芽衣は、変わらず家庭的で育児もしっかりこなしながら、良き妻として、良き母として、本当に良くやってくれている。

俺は、芽衣と家族になってからの暮らしが、本当に穏やかで、居心地が良かった。

「冬馬……幸せ?」

少しだけ不安げに、俺を見上げる芽衣を見て、俺は、ふっと笑った。

「幸せすぎだろ。芽衣がいて、流星がいて、春には、また家族が増える。……俺のずっと欲しかった、ありきたりの家庭を、芽衣がくれたから」

芽衣が、俺の首に手を回した。

「冬馬、私も幸せだよ……約束、守ってくれてありがとう」  

「泣かさない?ってやつ?」 

俺は、ワザとそう聞いた。 

「違うよっ」

芽衣が、頬を膨らませる。

俺は、流星がテレビのヒーローアニメに夢中になってるのを確認してから、芽衣の頬に触れた。芽衣の左手の薬指には、結婚指輪と重ねて、婚約指輪の小さなダイヤモンドが光っている。

「愛してるに決まってんだろ。ばぁか」 

「冬馬は、最後が余計なのっ」

それでも芽衣が、幸せそうに微笑むと、俺まで幸せで満たされる。

芽衣の唇に、俺は、そっとキスを落とした。
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