オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
「それにしても……全然変わんねぇな」
俺は、煙草の火を消すと、車を停めて、三人で暮らしていた家を見上げた。
俺達の住んでた家は、3年間、幸之助が定期的にクリーニング業者や園芸業者を呼んで綺麗にしてあると、春樹から聞いていたが、本当に昨日まで三人で暮らしてたかのように、咲いてる花一つ、とっても何も変わらない。
『冬馬おかえりー』
『あ、春樹、お風呂先入っていいよー』
3人で暮らしてた頃の、たわいない日常の明香の声が、玄関扉を開ければ聞こえて来そうだ。
俺は、キーケースにぶら下げたままにしていた鍵で鍵穴を回す。
ーーーーもう春樹達は、到着してるだろうか。
鍵穴を、回して、玄関先に入れば、男性用のスニーカーと女性用のパンプス、小さなピンクの花柄の靴がそろえて置いてある。
俺が来たのが分かったのか、急いで2階から階段を降りてくる音がして、その人物は、そのまま、俺を抱きしめた。