オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
「身体辛くなかった?」
私の髪を撫でると、コワレモノに触れるように、ふわっと抱きしめた。
「大丈夫だよ」
見上げた春樹は、唇を私の額に落とした。
「今日は、ちゃんと胸のとこにつけたから」
春樹が、胸元を指でなぞって、真っ赤になった私を満足げに眺めた。
このままじゃあ、風邪引かせるな、と脱がされたスウェットを先に私に着せてから、春樹も自分のスウェットを着た。
春樹のセックスはいつも優しい。初めての時からずっと。慈しむように、何度も好きだよと耳元で囁きながら、いつも大切に抱いてくれる。
「もう明香抱いてからじゃないと、俺、眠れなくなってるかも」
腕枕をされながら、春樹の低い声が、心地よく降ってくる。
「そんなことない、この間は会議明けで、私より先に寝てた」
「そんなこともあったっけ」
はぐらかすように、今度は頬に春樹の唇が降ってくる。
そして春樹が私の顔を覗き込んだ。
「なぁ、そういえば、明香この間、同窓会の時、冬馬と部屋一緒?明香、誰か隣に居なきゃ寝れないだろ?」
「あ……途中まで一緒だったけど、寝るのは別にしたよ」
ーーーー思わず咄嗟に嘘をついていた。
あの夜を忘れたいのに忘れられなくて。
私の言葉を聞いた春樹からは、少し間があった。冬馬にも同じことを聞いていたらどうしよう。
「……そっか。……あと、もう一つ聞いていい?」
少しだけ春樹の顔が曇ったような気がした。
私は春樹を見上げて、綺麗な二重の瞳を見つめた。
「……この間、何でセックスの時、泣いた?」
ーーーー言葉が出てこなかった。
冬馬に抱かれた次の日だったから。春樹しか知らなかった身体に冬馬の熱が残っていて、心が追いつかなかったから。
でもそんなこと、春樹に言えるわけない。
兄妹で重なり合ったなんて。
「ごめん。答えたくないならいいよ。ただ……初めて明香泣かしたから、気になってさ」
「春樹のせいじゃないよ、……自分でも……分からないの……」
「分かった……でも嫌な時は、嫌って言えよ?
俺、明香泣かせるのが1番キツい」
春樹は、優しく私の頭を撫でた。安心する優しい掌。
私は狡い。春樹の愛情に甘えて、優しくしてもらって、それなのに、冬馬への想いがどうしたって消えない。
もう自分でも、本当にどうしたらいいのか分からなくなっていた。
春樹は、腕枕はそのままに、私の掌を握って真上に大勢を変えると、天井を見上げた。
「冬馬……家出たら、寂しくない?」
「……それは……寂しい、かな。ずっと三人一緒だったから」
「明香の兄貴だもんな」
兄貴という言葉に胸がチクンとする。
「春樹は?寂しくないの?」
「…て正直、俺も寂しいな」
でも私は、このまま冬馬とは、以前みたいには暮らせない。たぶん冬馬も、そう思ってる。
「明香、俺と今後二人で暮らすこと、どう思ってんの?」
春樹が形の良い唇を引き上げながら、私を見つめた。
「……えっと……どう?」
「新婚生活先取りだろ?」
「あ……そっか」
結婚したら訪れる二人だけの生活が、結婚する前からもうすぐ始まる。
「週末、冬馬の引越しが終わって、落ち着いたら引っ越し祝いしにいかなきゃな。あと今度記念日兼ねて、二人で食事に行こう」
「うん」
春樹が、二重瞼を細めると、私の頬に触れて、寝る前のキスをした。
春樹とならきっと大丈夫。冬馬と離れて暮らすうちに、きっといつか忘れられる。そう思った。
私の髪を撫でると、コワレモノに触れるように、ふわっと抱きしめた。
「大丈夫だよ」
見上げた春樹は、唇を私の額に落とした。
「今日は、ちゃんと胸のとこにつけたから」
春樹が、胸元を指でなぞって、真っ赤になった私を満足げに眺めた。
このままじゃあ、風邪引かせるな、と脱がされたスウェットを先に私に着せてから、春樹も自分のスウェットを着た。
春樹のセックスはいつも優しい。初めての時からずっと。慈しむように、何度も好きだよと耳元で囁きながら、いつも大切に抱いてくれる。
「もう明香抱いてからじゃないと、俺、眠れなくなってるかも」
腕枕をされながら、春樹の低い声が、心地よく降ってくる。
「そんなことない、この間は会議明けで、私より先に寝てた」
「そんなこともあったっけ」
はぐらかすように、今度は頬に春樹の唇が降ってくる。
そして春樹が私の顔を覗き込んだ。
「なぁ、そういえば、明香この間、同窓会の時、冬馬と部屋一緒?明香、誰か隣に居なきゃ寝れないだろ?」
「あ……途中まで一緒だったけど、寝るのは別にしたよ」
ーーーー思わず咄嗟に嘘をついていた。
あの夜を忘れたいのに忘れられなくて。
私の言葉を聞いた春樹からは、少し間があった。冬馬にも同じことを聞いていたらどうしよう。
「……そっか。……あと、もう一つ聞いていい?」
少しだけ春樹の顔が曇ったような気がした。
私は春樹を見上げて、綺麗な二重の瞳を見つめた。
「……この間、何でセックスの時、泣いた?」
ーーーー言葉が出てこなかった。
冬馬に抱かれた次の日だったから。春樹しか知らなかった身体に冬馬の熱が残っていて、心が追いつかなかったから。
でもそんなこと、春樹に言えるわけない。
兄妹で重なり合ったなんて。
「ごめん。答えたくないならいいよ。ただ……初めて明香泣かしたから、気になってさ」
「春樹のせいじゃないよ、……自分でも……分からないの……」
「分かった……でも嫌な時は、嫌って言えよ?
俺、明香泣かせるのが1番キツい」
春樹は、優しく私の頭を撫でた。安心する優しい掌。
私は狡い。春樹の愛情に甘えて、優しくしてもらって、それなのに、冬馬への想いがどうしたって消えない。
もう自分でも、本当にどうしたらいいのか分からなくなっていた。
春樹は、腕枕はそのままに、私の掌を握って真上に大勢を変えると、天井を見上げた。
「冬馬……家出たら、寂しくない?」
「……それは……寂しい、かな。ずっと三人一緒だったから」
「明香の兄貴だもんな」
兄貴という言葉に胸がチクンとする。
「春樹は?寂しくないの?」
「…て正直、俺も寂しいな」
でも私は、このまま冬馬とは、以前みたいには暮らせない。たぶん冬馬も、そう思ってる。
「明香、俺と今後二人で暮らすこと、どう思ってんの?」
春樹が形の良い唇を引き上げながら、私を見つめた。
「……えっと……どう?」
「新婚生活先取りだろ?」
「あ……そっか」
結婚したら訪れる二人だけの生活が、結婚する前からもうすぐ始まる。
「週末、冬馬の引越しが終わって、落ち着いたら引っ越し祝いしにいかなきゃな。あと今度記念日兼ねて、二人で食事に行こう」
「うん」
春樹が、二重瞼を細めると、私の頬に触れて、寝る前のキスをした。
春樹とならきっと大丈夫。冬馬と離れて暮らすうちに、きっといつか忘れられる。そう思った。