オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
第5章 兄妹の秘密
「起きて!冬馬ー!」
ーーーー俺は夢を見てるのか……。毎日、俺を起こしにやってくる、明香の夢。
明香の大きな黒い瞳が、俺だけを映す瞬間がたまらなく恋しい。
その華奢な手を取って、抱きしめてしまおうかと何度思ったことか。
「んっ……明香……」
「めいか?違うよ、芽衣!」
薄目を開けると、俺の両頬を包んだまま、眉を寄せて、不貞腐れた芽衣が居た。
「は?」
状況が理解できなくて、慌てて起き上がった俺に、芽衣が、すぐに口を開く。
「ご飯!できたから一緒にたべよ!」
「お前さー……」
なんで俺の部屋に、入れんだよ、と聞きかけてやめる。そうだ、お互いの鍵を持ってるんだった。
「不法侵入だろうが」
「婚約中でしょ。昨日のお礼に、この私が朝ご飯作ったから食べて!」
俺の腕を強引に掴むと、芽衣が玄関先へと連れていく。
芽衣の部屋からは、玄関扉を開けた瞬間から、いい匂いが漂っていた。
テーブルには、焼き魚と味噌汁に、白いごはんとサラダが乗っかっている。
「うまそ」
思わず口をついて出た俺の言葉に、芽衣が自慢げに笑った。
「これでもお嬢様なんで。花嫁修行はしてたの」
「嫌々だろうが」
「あ、バレた?」
クスッと芽衣が笑う。
「一人で食べるの味気ないから。冬馬座って」
俺は言われるがまま、席に座ると味噌汁を飲む。
「うま」
「ほらねー、ガキって言わないでよね、ちゃんと、奥さんになれるんだから」
「俺以外のだろ」
芽衣は、少しだけ間を空けてから、ほんの少しだけ頬を染めた。
「…最悪、冬馬なら結婚してあげる」
「は?おっさん嫌なんだろ」
俺は、焼き魚を口に頬張りながら、聞き返した。
「まあねー。でも冬馬、顔だけはいいから」
どっかで聞いた台詞だな。
「ね、今日土曜日じゃん。暇ー」
芽衣は、俺の半分くらいの量を、パクパクと食べ終わると、ご馳走様と、箸を置いた。
「あー、来週の夜に春樹と明香が俺ん家、引越し祝いにくるから昼から、皿とか足りないもの買い出しいくけど?」
「私もいくー」
「了解。ご馳走様でした。……美味かった」
空っぽになった器と俺を交互にみて、芽衣が満足そうに、にんまり笑った。
ーーーー俺は夢を見てるのか……。毎日、俺を起こしにやってくる、明香の夢。
明香の大きな黒い瞳が、俺だけを映す瞬間がたまらなく恋しい。
その華奢な手を取って、抱きしめてしまおうかと何度思ったことか。
「んっ……明香……」
「めいか?違うよ、芽衣!」
薄目を開けると、俺の両頬を包んだまま、眉を寄せて、不貞腐れた芽衣が居た。
「は?」
状況が理解できなくて、慌てて起き上がった俺に、芽衣が、すぐに口を開く。
「ご飯!できたから一緒にたべよ!」
「お前さー……」
なんで俺の部屋に、入れんだよ、と聞きかけてやめる。そうだ、お互いの鍵を持ってるんだった。
「不法侵入だろうが」
「婚約中でしょ。昨日のお礼に、この私が朝ご飯作ったから食べて!」
俺の腕を強引に掴むと、芽衣が玄関先へと連れていく。
芽衣の部屋からは、玄関扉を開けた瞬間から、いい匂いが漂っていた。
テーブルには、焼き魚と味噌汁に、白いごはんとサラダが乗っかっている。
「うまそ」
思わず口をついて出た俺の言葉に、芽衣が自慢げに笑った。
「これでもお嬢様なんで。花嫁修行はしてたの」
「嫌々だろうが」
「あ、バレた?」
クスッと芽衣が笑う。
「一人で食べるの味気ないから。冬馬座って」
俺は言われるがまま、席に座ると味噌汁を飲む。
「うま」
「ほらねー、ガキって言わないでよね、ちゃんと、奥さんになれるんだから」
「俺以外のだろ」
芽衣は、少しだけ間を空けてから、ほんの少しだけ頬を染めた。
「…最悪、冬馬なら結婚してあげる」
「は?おっさん嫌なんだろ」
俺は、焼き魚を口に頬張りながら、聞き返した。
「まあねー。でも冬馬、顔だけはいいから」
どっかで聞いた台詞だな。
「ね、今日土曜日じゃん。暇ー」
芽衣は、俺の半分くらいの量を、パクパクと食べ終わると、ご馳走様と、箸を置いた。
「あー、来週の夜に春樹と明香が俺ん家、引越し祝いにくるから昼から、皿とか足りないもの買い出しいくけど?」
「私もいくー」
「了解。ご馳走様でした。……美味かった」
空っぽになった器と俺を交互にみて、芽衣が満足そうに、にんまり笑った。