オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜

「今日は3人で誕生日会しような」

私達は互いの誕生日だけは必ず3人でお祝いして過ごしてきた。

「春樹のオムレツ食べたい」

「俺は明香が食べたい」   

目をまん丸にした私をみて春樹がクスッと笑った。

「そろそろ話し戻そうか、スーツは紺色だよ」

「……うーん、紺色のスーツなら、同じ色合いの淡い黄色の入ったストライプの紺のネクタイがいいかも」 

「分かった、ありがとう」

春樹から目線を逸らせた私の唇をあっさりと春樹が攫う。


「……あとちゃんと覚えてる?ベッドの中で言った昨日の話、本気だから、俺」 

「えっと、……私」

「俺の奥さんになってって話」

春樹は、今すぐじゃないよ、と、にこりと笑うとするりと私から手を離して自室へと階段を登っていく。

春樹といると安心する。

時おりみせる子供みたいな顔も、私を包んでくれる大きな手のひらも、何より私を心から大切にしてくれる。

あの夜に心に蓋をしてから、私は好きだと言ってくれる春樹に心が動かされて3年前から付き合い始めた。

春樹と居ると穏やかで心があったかくなる。

これからも彼のそばにいるのが当たり前で、変わらない。


ーーーーそれが冬馬とのあの日の約束だから。
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