月雨さんは少女に塩あまい
「……それどうするんですか」


初夏の午後のこと。

山のような雑務を片付け、キッチンに出向いた先でふわりと少女が笑う。


「月雨さんおはようございます! あの食べますか?」


なんだか会話が噛み合ってない気がするのだが、少女はまったく気にした風もない。――おそらく。クッキーらしきものを焼いていて、作りすぎてしまったのだろう。


クッキーらしきものと表現したのは、クッキーと言い切るには少々無理があるっていう、個人の見解ってだけであるが。

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