もうダメだった。





それなのに。
高校を卒業して数ヶ月経った今。


私は結衣が大好きだからこそずっと苦しい。


高校卒業後の私たちの進路は結衣は東京の大学へ進学し、私は地元の会社に就職した。

片道3時間はある遠距離恋愛が始まった。


毎日連絡を取り合った。
放置なんてされていない。
1ヶ月に一回はこっちに帰ってきてくれる。


それでも私は苦しかった。


苦しい原因はわかっている。
結衣のSNSだ。


結衣のSNSには東京へ行って変わってしまった結衣とその周りの人の日常があった。
数ヶ月前まではそこには私しかいなかったはずなのに知らないたくさんの人がそこにいて。
私がいたはずの場所には東京の美女が微笑んでいた。


人と関わることが苦手なはずのは結衣が何故か人の中心で笑っている。
あんなにも素顔を隠してきたのに素顔を見せて世界中にSNSを通して発信している。


東京で結衣が変わっていく姿を私はただ遠くから見ていることしかできない。


あまりにも美しかった結衣はついにインフルエンサーのような存在になってしまった。

もう、私だけの結衣ではなくなった。

大好きなのに。
いや、大好きだからこそ、見ていて辛くって苦しいの。







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