もうダメだった。
私のことまだ好きだったりする?
「いやいやいや」
それはない。
自分で考えてしまったことだが、私はすぐにそんな有り得ない話を否定した。
脳内がお花畑なのは私だ。
6年前、私は結衣ときっぱり別れたのだ。
別れ話をした時の結衣はとてもあっさりとしていたし、別れてから一度も私と接触しようとしてこなかった。
どんなに私が避けても本気で接触しようと思えばあの手この手で接触できたはずだ。
私たちの地元は同じなのだから。
ご都合主義すぎるな、私。
自分のおめでたい頭に嫌気を感じながらも私はパジャマに着替えてさっさと寝ることにした。
「…っ!」
この客室唯一のキングサイズベッドに、ぼふん、と倒れ込んでみると思っている以上にふかふかで私は驚いた。
何て気持ちがいいのだろうか。
こんな素敵なベッドで寝られるなんて最高。
ここベッドは結衣のベッドだが、結衣が留守の間、少しだけ使わせてもらおう。
ここでなら疲れが全て飛んでいきそうだ。