もうダメだった。
*****
「…ん」
何時間寝ていたのだろうか。
とても心地の良いベッドの上で寝たおかげかいつもより体がスッキリしている気がする。
そんなことを思いながら私はゆっくりと目を開いた。
「…」
「おはよ、莉子」
そこには何故か優しく笑っている結衣の姿があった。
「…仕事は?」
「終わったよ」
ゆっくりと私の頭を撫でる結衣に私は心地よさを感じる。
ああ、何かこの感じ懐かしいな。
「ちょっと遅いけど昼食にしよ」
結衣に撫でられて再び寝そうになっていると結衣にそう言われて体を起こされた。
そしてそのまま昨日結衣が座っていた豪華なソファまで手を引かれた。
「さあ、一緒に食べよう」
「うん」
結衣と並んでソファに座る。
肩と肩が触れそうな距離で私たちは遅めらしい昼食を食べ始めた。
目の前の机に置かれているメニューは白米と味噌汁と野菜炒め。
私はまずは味噌汁に手をつけた。
「…」
あれ?
ずず、と味噌汁を飲んで何かが私の中で引っかかる。
どこかで飲んだことのある懐かしい味。
涙が込み上げてきたところで私は気づいた。
「これ結衣が作ったの?」
「…っ!そう…」
思わず結衣に聞くと結衣は最初とんでもなく嬉しそうに目を見開き、そのあと静かに肯定した。
手作りだと私が気づいたことがそんなにも嬉しかったのだろうか。