もうダメだった。
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「…ん」
頭が重い。
それにいつもより妙に布団を肌で感じられる。
そこまで感じて私は慌てて目を開いた。
「え」
そして自分の置かれている状況に思わず声を漏らした。
全裸で寝ている私と同じく全裸で私を抱きしめてこちらを満足げに見つめている結衣と目が合う。
お互いに全裸でベッドの上だなんて最悪の状況が頭をよぎる。
「待って…、これ、は…」
うまく言葉が出てこない。
「おはよ、莉子。体は大丈夫?」
労わるように私を見つめる結衣に私の頭の中は真っ白になった。
何も思い出せない。
ワインを一杯飲んだ後、何があったのか。
私は何故裸で結衣に抱き締められていたのか。
「昨日の莉子本当に可愛かったな。久しぶりだったけど何も変わっていなかったね?」
「…っ」
結衣にそう言われた私はついに察してしまった。
私は昨日結衣に抱かれてしまったことに。
「莉子ずぅっと好き好きって言ってくれたんだよ?結婚まで約束してくれてさ。俺もう夢なんじゃないかって…」
「…え」
うっとりとした表情でそう言う結衣の言葉を否定したかったが、何も思い出せないので何も言えない。
私はたった一杯のワインでとんでもないことをしでかしてしまったのか?