13歩よりも近い距離
 緑川岳。私よりひとつ歳下の、中学二年生。
 冒頭で説明した通り、彼は少しおバカなところもあるが、友達も多く良い人だ。けれど今回の籠城(ろうじょう)に関してだけ言えば、おかしいの一言に尽きる。私を恋人にしたいが為に、不登校になるなんて。

「バカじゃないの、あいつ……」

 彼が最後に私へ告白した時に満開だった桜はとうに散り、木は緑一色の葉を纏う。

「もうすぐゴールデンウィークだよ、岳……」

 岳が家へと立てこもってから早二週間。未だイエスを口にしない私に彼は、不登校という(やいば)を向け続ける。
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