in other words
「デリバリーサービスの配達員でバイトをしているって言う女でした。

彼は、“彼女と一緒になりたいから別れてくれ”と私に言ってきて…それで…」

そのことを思い出したせいで、私は泣きそうになった。

「もうショックでした…。

長くつきあっていた私よりも、後に出会った女を選ばれて…その時は“わかった…”って言って彼の家を出たんですけど、今思えば文句を言って暴れてやればよかったと思います。

“私の5年間を返せ!”と泣き叫んで、警察に捕まってもいいから暴れて、何だったら警察に彼が浮気したことを暴露して…」

「もういい、わかった」

高城さんが言った。

「君はよく耐えた、君はとにかく我慢した、それだけで充分だ」

彼にハンカチを差し出されたので、私は自分が泣いていたことに気づいた。
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