in other words
「明日は用事があるから琴美さんと話をするのはできないんだ」

高城さんと話をする仲になって10日目になったその日、彼はそんなことを言った。

「用事ですか?」

そう聞き返した私に、
「申し訳ないが、どうしても外せなくて…」

高城さんは本当に申し訳ないと言った様子である。

「いいですよ、仕方がないことだと思いますし」

用事があるんだったら、それを優先した方がいいと思う。

「琴美さんの声が聞けないのは寂しいし、話で聞けないのは悲しいな」

高城さんの声とその様子から、彼が落ち込んでいるのがわかった。

「1日だけですよね?」

そんなにも楽しみにしているんだと思いながら、私は聞いた。

「まあ、そうなんだが…」

高城さんが苦笑いをしたのがわかった。
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