in other words
「君が困っているところを見過ごしたくないんだ」

彼に言われて、
「じゃ…じゃあ、お言葉に甘えて…」

私はサンダルを手に持つと、彼の背中に乗った。

ヒョイと、彼は私をおぶったままの状態で立ちあがった。

「あの…重くないですか?」

そう呟くように尋ねた私に、
「軽いくらいだ」
と、彼は答えた。

「家はどこだ?」

「あそこのセブンイレブンを右に曲がって真っ直ぐ行ったらグレーの壁のマンションがあります。

そこが私の住んでいるところです」

「うん、わかった」

彼は返事をすると、歩き出した。

見知らぬ人はもちろんのことだけど、父親以外の男の人におんぶしてもらったのは初めてだった。

気持ちが落ち着かないのは暑いからだと、私は自分に言い聞かせた。
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