あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
11.お買い物デート
「待たせたな」
屋久蓑大葉がシャワーと着替えを済ませて、駆け足に羽理の愛車――鮮やかなビタミンカラーのイエローがまぶしいダイハチュのコッペンへ近付けば、羽理がのほほんとした顔で運転席のパワーウィンドウを開けた。
「そんなに待ってないです。実は私も今来たところで……」
その言葉に、大葉はハテ?と小首を傾げると、「残業でもしてたのか?」と問いかける。
今朝は羽理とともに徒歩通勤をしたので、自分の愛車は自宅待機の大葉だ。
「あっ! 部長! とりあえず早く中へっ」
そこでふと社屋の方へ視線を向けた羽理が、急に慌てた様子で助手席を指さすから、大葉は会社にバレるのが恥ずかしいのかな?と思いながら羽理の隣へ滑り込んだ。
「出します……! 部長、道案内お願いしますね!?」
近場なのに道案内!?と思った大葉だったが、羽理が今朝大葉の家から会社までのたかだか四〇〇メートル足らずの距離で方向感覚を失ったのを思い出して口をつぐんだ。
「――で、さっきの話だが」
「右ですか!? 左ですか!?」
話を続けようとした途端、羽理が会社の駐車場から国道へ差し掛かるなり怒ったように聞いてくるから。
「あー、右っ!」
つられてソワソワと答えながら、大葉はドラッグストアに着くまで、まともな会話は無理そうだな、と諦めた。
***
会社から車で五分の場所にある『アスマモル薬局』は、全国チェーンのドラッグストアだ。
母体が大手製薬会社だと言うだけあって、薬の品揃えが豊富で、薬剤師在中の店舗では処方箋薬を受け取ることも出来る。
屋久蓑大葉がシャワーと着替えを済ませて、駆け足に羽理の愛車――鮮やかなビタミンカラーのイエローがまぶしいダイハチュのコッペンへ近付けば、羽理がのほほんとした顔で運転席のパワーウィンドウを開けた。
「そんなに待ってないです。実は私も今来たところで……」
その言葉に、大葉はハテ?と小首を傾げると、「残業でもしてたのか?」と問いかける。
今朝は羽理とともに徒歩通勤をしたので、自分の愛車は自宅待機の大葉だ。
「あっ! 部長! とりあえず早く中へっ」
そこでふと社屋の方へ視線を向けた羽理が、急に慌てた様子で助手席を指さすから、大葉は会社にバレるのが恥ずかしいのかな?と思いながら羽理の隣へ滑り込んだ。
「出します……! 部長、道案内お願いしますね!?」
近場なのに道案内!?と思った大葉だったが、羽理が今朝大葉の家から会社までのたかだか四〇〇メートル足らずの距離で方向感覚を失ったのを思い出して口をつぐんだ。
「――で、さっきの話だが」
「右ですか!? 左ですか!?」
話を続けようとした途端、羽理が会社の駐車場から国道へ差し掛かるなり怒ったように聞いてくるから。
「あー、右っ!」
つられてソワソワと答えながら、大葉はドラッグストアに着くまで、まともな会話は無理そうだな、と諦めた。
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会社から車で五分の場所にある『アスマモル薬局』は、全国チェーンのドラッグストアだ。
母体が大手製薬会社だと言うだけあって、薬の品揃えが豊富で、薬剤師在中の店舗では処方箋薬を受け取ることも出来る。