あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「……五代くん?」
およそ化粧品売り場には縁遠そうなワンコ系後輩――五代懇乃介の突然の登場に、羽理はキョトンとする。
スーツ姿できっちり決めているのに、大好きな飼い主を見付けて尻尾ブンブンで喜ぶワンコみたいな笑顔を振りまきながら駆け寄ってきた懇乃介に、羽理は思わず笑ってしまった。
「先輩っ♥ お買い物ですか?」
「うん、まぁそんな感じ。――五代くんも?」
「はいっ。今日はひっさびさに定時上がりできたのでデオドラントグッズを買いに来ました」
においに気を遣うとは……またチャラチャラした五代くんらしいな?と思いつつ「そっか」とつぶやいたら「あのっ。先輩って化粧とかなさってたんですか?」と、羽理が手にしたリキッドファンデーションを指さしてくる。
「えっ。してるに決まってるじゃない。五代くん、私のこと、一体何歳だと思ってるの!」
「二十歳くらい?」
至極真剣な顔をしてそんなことを言う懇乃介に、羽理はぷはっと吹き出してしまった。
「それじゃあ五代くんより年下になっちゃうよっ。――でも……若く見積もってくれて有難う! 今度お礼しなきゃね」
「じょ、冗談じゃないですからねっ!? 先輩は俺にとっていつだって可愛らしい女の子なんですからっ! あっ、そうだ! ここで会えたのも何かの縁ですし、これから俺と一緒に食事でも……」
「生憎だがコイツは俺の連れだ」
懇乃介が羽理を食事に誘おうとしたと同時。
二人の間に割り込むようにヌッと買い物かごが突き出された。
およそ化粧品売り場には縁遠そうなワンコ系後輩――五代懇乃介の突然の登場に、羽理はキョトンとする。
スーツ姿できっちり決めているのに、大好きな飼い主を見付けて尻尾ブンブンで喜ぶワンコみたいな笑顔を振りまきながら駆け寄ってきた懇乃介に、羽理は思わず笑ってしまった。
「先輩っ♥ お買い物ですか?」
「うん、まぁそんな感じ。――五代くんも?」
「はいっ。今日はひっさびさに定時上がりできたのでデオドラントグッズを買いに来ました」
においに気を遣うとは……またチャラチャラした五代くんらしいな?と思いつつ「そっか」とつぶやいたら「あのっ。先輩って化粧とかなさってたんですか?」と、羽理が手にしたリキッドファンデーションを指さしてくる。
「えっ。してるに決まってるじゃない。五代くん、私のこと、一体何歳だと思ってるの!」
「二十歳くらい?」
至極真剣な顔をしてそんなことを言う懇乃介に、羽理はぷはっと吹き出してしまった。
「それじゃあ五代くんより年下になっちゃうよっ。――でも……若く見積もってくれて有難う! 今度お礼しなきゃね」
「じょ、冗談じゃないですからねっ!? 先輩は俺にとっていつだって可愛らしい女の子なんですからっ! あっ、そうだ! ここで会えたのも何かの縁ですし、これから俺と一緒に食事でも……」
「生憎だがコイツは俺の連れだ」
懇乃介が羽理を食事に誘おうとしたと同時。
二人の間に割り込むようにヌッと買い物かごが突き出された。