あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「あ、はい。俺も……土恵の人間っす」
そう答えるチャラ男を牽制しつつ羽理の手首を握ると、大葉は彼女の小さな身体をこれ見よがしに自分の方へ引き寄せた。
「あひゃっ!? ――ちょっ、《《屋久蓑部長》》っ!」
目の前の男のせいだろう。
折角名前呼びをしてくれていた羽理が、苗字+役職呼びに戻ってしまったではないか。
そのことも非常に面白くないと思ってしまった大葉だ。
「……《《羽理》》、呼び方」
ちらりと羽理に視線を落とすなり、わざと〝羽理〟のところを強調してそう告げたら「ばっ、バカなんですかっ!? 五代くんがいるのに!」と小声で抗議してくる。
(バカ!? ちょっ、お前的にはそうかも知れんが、俺としては五代がいるからこそ!なんだがな!? それに……そんなに俺と付き合ってるのがバレたくないのか、荒木羽理! 土恵は社内恋愛には相当寛大だぞ!?)
などと思っている大葉を置き去りにして、羽理がソワソワと言い訳を開始してしまう。
「あ、あのね、五代くん。……ぶ、部長とは……そのっ、えっと、……そう! し、仕事のことで視察に来てるの!」
羽理は懸命に大葉から距離をあけようともがきつつ、目の前のチャラ男にそう言ってから、すぐそばに立つ大葉を非難がましく見上げてくる。
その目は明らかに『手、離して下さい』と訴えてきていたが、大葉はわざと気付かないふりをした。
その徹底ぶりに観念したのだろう。
羽理が、小さく吐息を落とすなりスッと手の力を抜くと、「屋久蓑部長、彼は私が教育係をした後輩で、現在は営業課に配属されている五代懇乃介くんと言います」と紹介してくれた。
(羽理が教育係をしていた後輩……?)
――だからやたらと懐いているのか。
そう思いはしたものの、どうにも納得がいかない。
そもそも、自分にも後輩は沢山いたし、もちろん若い頃には教育係をして育てた輩だって何人もいた。
そう答えるチャラ男を牽制しつつ羽理の手首を握ると、大葉は彼女の小さな身体をこれ見よがしに自分の方へ引き寄せた。
「あひゃっ!? ――ちょっ、《《屋久蓑部長》》っ!」
目の前の男のせいだろう。
折角名前呼びをしてくれていた羽理が、苗字+役職呼びに戻ってしまったではないか。
そのことも非常に面白くないと思ってしまった大葉だ。
「……《《羽理》》、呼び方」
ちらりと羽理に視線を落とすなり、わざと〝羽理〟のところを強調してそう告げたら「ばっ、バカなんですかっ!? 五代くんがいるのに!」と小声で抗議してくる。
(バカ!? ちょっ、お前的にはそうかも知れんが、俺としては五代がいるからこそ!なんだがな!? それに……そんなに俺と付き合ってるのがバレたくないのか、荒木羽理! 土恵は社内恋愛には相当寛大だぞ!?)
などと思っている大葉を置き去りにして、羽理がソワソワと言い訳を開始してしまう。
「あ、あのね、五代くん。……ぶ、部長とは……そのっ、えっと、……そう! し、仕事のことで視察に来てるの!」
羽理は懸命に大葉から距離をあけようともがきつつ、目の前のチャラ男にそう言ってから、すぐそばに立つ大葉を非難がましく見上げてくる。
その目は明らかに『手、離して下さい』と訴えてきていたが、大葉はわざと気付かないふりをした。
その徹底ぶりに観念したのだろう。
羽理が、小さく吐息を落とすなりスッと手の力を抜くと、「屋久蓑部長、彼は私が教育係をした後輩で、現在は営業課に配属されている五代懇乃介くんと言います」と紹介してくれた。
(羽理が教育係をしていた後輩……?)
――だからやたらと懐いているのか。
そう思いはしたものの、どうにも納得がいかない。
そもそも、自分にも後輩は沢山いたし、もちろん若い頃には教育係をして育てた輩だって何人もいた。