あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「営業のくせに知らないのか。ドラッグストアにも最近は生鮮コーナーがある」
 ――しかも下手したらスーパーより安い、と心の中で付け加えつつ。
(卵とか牛乳とかお買い得品も多いからな)
 などと、ついつい主夫目線でものを考えてしまった大葉(たいよう)だ。

「マジですか」

「ああ、大マジだ。嘘だと思うならキミも後で見てみるといい。――案外近所のスーパーより安い食材とかあるぞ」
(おすすめは卵や牛乳だが、そこまでは教えてやらん)

「へぇー。俺、料理しないんであんま関係ないっすけど……」

 そこでちらりと羽理(うり)に熱い視線を送った懇乃介(こんのすけ)が、「けど……彼女が出来た時、飯作ってもらう際の参考にさせてもらいます!」とにこやかに笑う。

(残念だったな。そいつは食うの専門だぞ?)
 その視線が憎たらしく感じられて、つい《《心の中で》》悪態をついた大葉(たいよう)だ。

「うん、うん。そうするといいよぉ~。前に仁子(じんこ)が卵とか牛乳なんかがお買い得だって話してたから。――参考にして?」

(バカっ! あえて伝えなかった《《機密情報》》を簡単にバラすな、荒木(あらき)羽理(うり)!)

 大葉(たいよう)が羽理を恨みがましい目で見詰めたと同時。

五代(ごだい)くんに一日も早く《《料理上手な彼女》》が出来るよう《《応援してる》》ね!」

 鈍感娘羽理がヘヘッと笑いながら、懇乃介(こんのすけ)の好意に満ちた視線をいとも簡単に叩き潰してしまう。
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