あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「なぁ羽理。さっきから思ってたんだがな……。距離、あけすぎだろ」
言われてグイッと大葉に腕を引かれた羽理は、「ふぇっ!?」という驚きの声ごと封じ込めるみたいに、背後から大葉に包み込まれて、ワインが並んだ棚の前にいる。
背中に大葉の温もりを感じながらのワイン選びは、全く銘柄が頭に入ってこない。
「屋久蓑ぶちょ、は……私を殺す気……です、か?」
確かにショック療法を受け入れた羽理ではあったけれど、こんな風に不用意に距離を詰めるのは、動きが怪しい心臓のためにもやめて頂きたい。
現に今だって、胸の中で心臓が馬鹿みたいに踊り狂っているのだ。
「――何度言わせるんだ羽理。部長じゃなくて大葉、な?」
なのにそんな羽理の訴えなんてどこ吹く風。
懸命に告げた抗議を完全スルーされて、すぐ耳元。耳触りの良いバリトンボイスで呼び方を訂正された羽理の心臓は、苦しいくらいにドクドクと暴れている。
こんなにも自分は動揺しまくっているというのに……。
大葉はいっそ清々しいくらいに涼しい顔をしていて、何だか納得のいかない羽理だ。
「な、んで……大葉はそんな平気そうな、んですか?」
自分の不整脈の方が、大葉より重篤な症状なのかも知れないと思うと同時、大葉がふっと柔らかく微笑んで。
「それはお前が俺をドキッとさせるような行動に出ないからだろ」
今度こそククッと声に出して笑いながら「期待してるぞ?」と付け加えられた羽理は、ますます困惑してしまう。
言われてグイッと大葉に腕を引かれた羽理は、「ふぇっ!?」という驚きの声ごと封じ込めるみたいに、背後から大葉に包み込まれて、ワインが並んだ棚の前にいる。
背中に大葉の温もりを感じながらのワイン選びは、全く銘柄が頭に入ってこない。
「屋久蓑ぶちょ、は……私を殺す気……です、か?」
確かにショック療法を受け入れた羽理ではあったけれど、こんな風に不用意に距離を詰めるのは、動きが怪しい心臓のためにもやめて頂きたい。
現に今だって、胸の中で心臓が馬鹿みたいに踊り狂っているのだ。
「――何度言わせるんだ羽理。部長じゃなくて大葉、な?」
なのにそんな羽理の訴えなんてどこ吹く風。
懸命に告げた抗議を完全スルーされて、すぐ耳元。耳触りの良いバリトンボイスで呼び方を訂正された羽理の心臓は、苦しいくらいにドクドクと暴れている。
こんなにも自分は動揺しまくっているというのに……。
大葉はいっそ清々しいくらいに涼しい顔をしていて、何だか納得のいかない羽理だ。
「な、んで……大葉はそんな平気そうな、んですか?」
自分の不整脈の方が、大葉より重篤な症状なのかも知れないと思うと同時、大葉がふっと柔らかく微笑んで。
「それはお前が俺をドキッとさせるような行動に出ないからだろ」
今度こそククッと声に出して笑いながら「期待してるぞ?」と付け加えられた羽理は、ますます困惑してしまう。