あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
未読のままでの放置だから既読スルーよりはマシかも知れないけれど、それすらまるで「はい、お察しの通り何かありました!」と言っているようで落ち着かない。
メッセージアプリの画面を開いたまま(わーん、マズイよ、どうしよう!)と思っていた矢先、ブーッブーッと手の中のスマートフォンが震えて、着信を知らせてくる。
発信者通知には『裸男』と表示されていて。
羽理は心の中で声にならない悲鳴を上げた。
「あ、あの……倍相課長、すみません。電話が掛かってきたので……」
一応岳斗に断ってベンチを立つと、少し離れた場所で通話ボタンをタップする。
「……もしもし?」
言いながら恐る恐る耳に当てた携帯から、
『今頃やっとメッセージを確認したか』
少し音質の悪い音声で、不機嫌そうな大葉の声が聞こえてきた。
恐らく何かの作業をしながら、ハンズフリー通話をしているんだろう。
そのお陰で変に胸がざわつかずに済んで、ホッと胸を撫で下ろした羽理だ。
『昼休みになっても全然既読になんねぇから、帰り、気になって高速使っちまったじゃねぇか』
恨みがましい文言が続くのを聞いて、「えっ? 今日のご出張は片道二〇キロ圏内の近場でしたよね? 三〇キロ以下の場所への移動での高速代は、経費では落ちませんよ?」と、つい経理の立場でお仕事モードになってしまった羽理だ。
下道を使っても比較的交通量の少ない農道がメインの経路。それほど時間の短縮にはならないだろうに、何でわざわざ高速を使いましたかね!?と思った羽理に、『そんな事は言われなくても分かっとるわ。お前が心配させるせいで自腹切っちまっただろ?って嫌味を言ったつもりだったんだが……通じなかったか。この鈍感娘めっ』と叱られてしまった。
メッセージアプリの画面を開いたまま(わーん、マズイよ、どうしよう!)と思っていた矢先、ブーッブーッと手の中のスマートフォンが震えて、着信を知らせてくる。
発信者通知には『裸男』と表示されていて。
羽理は心の中で声にならない悲鳴を上げた。
「あ、あの……倍相課長、すみません。電話が掛かってきたので……」
一応岳斗に断ってベンチを立つと、少し離れた場所で通話ボタンをタップする。
「……もしもし?」
言いながら恐る恐る耳に当てた携帯から、
『今頃やっとメッセージを確認したか』
少し音質の悪い音声で、不機嫌そうな大葉の声が聞こえてきた。
恐らく何かの作業をしながら、ハンズフリー通話をしているんだろう。
そのお陰で変に胸がざわつかずに済んで、ホッと胸を撫で下ろした羽理だ。
『昼休みになっても全然既読になんねぇから、帰り、気になって高速使っちまったじゃねぇか』
恨みがましい文言が続くのを聞いて、「えっ? 今日のご出張は片道二〇キロ圏内の近場でしたよね? 三〇キロ以下の場所への移動での高速代は、経費では落ちませんよ?」と、つい経理の立場でお仕事モードになってしまった羽理だ。
下道を使っても比較的交通量の少ない農道がメインの経路。それほど時間の短縮にはならないだろうに、何でわざわざ高速を使いましたかね!?と思った羽理に、『そんな事は言われなくても分かっとるわ。お前が心配させるせいで自腹切っちまっただろ?って嫌味を言ったつもりだったんだが……通じなかったか。この鈍感娘めっ』と叱られてしまった。