あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
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 大葉(たいよう)の姉だと言う一羽(いちば)柚子(ゆず)との初邂逅(はつかいこう)は、お互い真っ裸と言う最悪なものだった。

 女同士だからいいかと言うと、そう言うこともなくて……。

 例えば最初からお互い裸でいることが前提の温泉などなら心の準備も出来ている。

 でも、今回は余りに突然過ぎたから。

 何と言うかフルンと揺れた柚子の《《大きなおっぱい》》に、羽理(うり)は正直滅茶苦茶(ひる)んだのだ。

 いや、(ひる)んだと言うより(ひが)んだ、に近いかも知れない。

 一番最初に思ったのは、(あんな大きなお胸の女性には〝勝てっこない〟!)と言うこと。

 大葉(たいよう)に彼女は姉だと説明された後も、あんな巨乳のお姉さんを見て育った大葉(たいよう)には、羽理の《《ちっぱい》》はさぞかし《《ささやか》》に映っただろうなと言うことで。

 大葉(たいよう)、一応に羽理の裸に《《反応》》はしてくれていた気がするけれど、それすら何となく心許(こころもと)なく思えて泣きたくなってしまった。

 だって――。

(普通、裸の女の子が目の前にいたら襲いたくならない?)

 襲われても困るけれど、自分のことを好きだと明言してくれた後のつい今し方だって、大葉(たいよう)は淡々と羽理にバスタオルを掛けてくれただけ。

 二人きりになった後でさえも、大葉(たいよう)はとっても〝紳士的〟で……思わず抱き付いてしまいそうになるとか、衝動に駆られて迫ろうとしてくるとか……そんな素振りは微塵もなかった。

 心臓がバクバクするのはいつも羽理だけな気がして、何だかとっても理不尽に思えたと言ったらワガママだろうか?
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