あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
 何となく柚子(ゆず)に引け目を感じてしまっている羽理(うり)は、大葉(たいよう)を前に復活した不整脈も手伝って、彼のそばには座りたくないと思ってしまった。

 そもそも下着がないまま、直に身に着けるしかなかったチュニックとレギンスが、(やったことはないけれど)裸タイツの気分で非常に落ち着かない。
 何ならレギンスが股に食い込んで気持ち悪くて……歩き方もおかしくなってしまう。

 それでわざわざ大葉(たいよう)から距離を取るようにローテーブルを挟んだ向かい側に座ったのだけれど――。

 床に置かれた座布団の上にペタリと座ったからか、キュウリからやたら際どい所を責め立てられると言う羞恥(しゅうち)プレイを受けてしまった。

 ついでに――。

(何でキュウリちゃんを抱いたまま私の横に来ましたかね!?)

 大葉(たいよう)にSOSを出したのは確かに羽理だ。

 だけど――。

 愛犬を抱いた大葉(たいよう)が、わざわざ自分の隣に座るだなんて想定の範囲外。てっきり大葉(たいよう)はソファに戻ってくれると思っていたのに。

(心臓がバクバクするので離れて欲しいですぅー)

 思いながら、羽理は尻を床に付けたままジリジリと大葉(たいよう)から距離を取った。


***


「ところでたいちゃんと羽理(うり)ちゃんって……付き合ってるの?」

 どうやらこの二人、急接近の原因はたまたま。何らかの要因で無理矢理結びつけられただけらしい。

 だけど、どう見ても可愛い大葉(おとうと)は隣に座る女の子を意識しているし、弟が好意を寄せているようにしか見えないその子にしても、それは同じに見えた。

 なのに――。
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