あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
七階フロアにあるのは、もちろん羽理の部屋だけではない。
大葉が荷物を取りに行っている間に、他の住人が帰って来たという可能性だってもちろんある。
だけど――。
大葉は落ち着かない気持ちをぶつけるみたいに何度も何度も操作パネルを連打せずにはいられなかった。
(くそっ。何でこんな時間かかんだよ!)
だが、階段を走って上がるよりは、もどかしくてもここでエレベーターが来るのを待った方が断然早い。
そう分かってはいても、ザワザワとした不安な気持ちに突き動かされるように、大葉は気持ちばかりが急いてしまうのだ。
やっとの思いでエレベーターに乗って七階へたどり着いて――。
数メートル先の羽理の部屋を見遣れば、ドアがほんの少し開いていて、扉に挟まるようにして立つスーツ姿の男が見えた。
あろうことがその男が、「僕じゃ恋人候補になれないかなって……そういう……意味……なんだけど」とか羽理に迫っている様子ではないか。
大葉は思わず手にしていた荷物をその場へ全部放り出すと、中途半端に開いていたドアをガッと開いて。
「生憎だが、こいつはもう俺んだから!」
羽理に告白している人物が誰なのかも確認しないままに二人の間へ割り込むように分け入ると、大葉は羽理をグイッと腕の中に閉じ込めてそう宣言していた。
「ひゃっ、大、葉っ!?」
「屋久蓑部長っ!?」
羽理がオロオロと大葉の名を呼んだのと、眼前の男――倍相岳斗が大葉の名を呼んだのとがほぼ同時で。
大葉はそんな二人を見詰めて、「何で倍相課長が羽理の家にいるんだ!」と叫ばずにはいられなかった。
***
「と、とりあえず、どうぞ」
結局立ち話も何だし、という妙な流れになって。
三人して羽理の部屋のリビング。例の猫耳付きテーブルを囲んでひざを突き合わせている。
大葉が荷物を取りに行っている間に、他の住人が帰って来たという可能性だってもちろんある。
だけど――。
大葉は落ち着かない気持ちをぶつけるみたいに何度も何度も操作パネルを連打せずにはいられなかった。
(くそっ。何でこんな時間かかんだよ!)
だが、階段を走って上がるよりは、もどかしくてもここでエレベーターが来るのを待った方が断然早い。
そう分かってはいても、ザワザワとした不安な気持ちに突き動かされるように、大葉は気持ちばかりが急いてしまうのだ。
やっとの思いでエレベーターに乗って七階へたどり着いて――。
数メートル先の羽理の部屋を見遣れば、ドアがほんの少し開いていて、扉に挟まるようにして立つスーツ姿の男が見えた。
あろうことがその男が、「僕じゃ恋人候補になれないかなって……そういう……意味……なんだけど」とか羽理に迫っている様子ではないか。
大葉は思わず手にしていた荷物をその場へ全部放り出すと、中途半端に開いていたドアをガッと開いて。
「生憎だが、こいつはもう俺んだから!」
羽理に告白している人物が誰なのかも確認しないままに二人の間へ割り込むように分け入ると、大葉は羽理をグイッと腕の中に閉じ込めてそう宣言していた。
「ひゃっ、大、葉っ!?」
「屋久蓑部長っ!?」
羽理がオロオロと大葉の名を呼んだのと、眼前の男――倍相岳斗が大葉の名を呼んだのとがほぼ同時で。
大葉はそんな二人を見詰めて、「何で倍相課長が羽理の家にいるんだ!」と叫ばずにはいられなかった。
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「と、とりあえず、どうぞ」
結局立ち話も何だし、という妙な流れになって。
三人して羽理の部屋のリビング。例の猫耳付きテーブルを囲んでひざを突き合わせている。