あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「お前は……。ケーキを覗いて何をそんなに悶えてるんだ」
手にしていた盆を、重ね置かれたままの空っぽの皿の横に置くなり、大葉が羽理を見て眉根を寄せる。
(そ、それはあなたがっ)
と抗議したいけれど、言えば墓穴を掘りそうなのでグッと気持ちを切り替えた羽理だ。
そうして改めて箱の中を見つめて……。
つい今し方まで頭を悩ませていた大問題を口にした。
「だってだって大変なんです! 箱の中にケーキ、二つしか入ってないんですよぅ! 三人で二つのケーキをどう分けたら!?ってなるじゃないですかぁぁぁ!」
百面相のようにコロコロ表情を変えながら発せられた羽理の悲痛な声音に、さすがに申し訳ない気持ちになってしまったんだろう。
岳斗が、「すみません。もっとたくさん買って来ればよかったですね」とつぶやいて。
羽理はしゅんとした岳斗の様子に、「あああっ! ごめんなさいっ! 私、別に課長を責めたかったわけでは!」とオロオロした。
「そんなの、倍相課長だって分かってるから落ち着け。――課長も……元々羽理のために買ってきたもんだったんだろう? ややこしくなるから謝るな」
そんな二人の様子に小さく吐息を落とした大葉が、見慣れた上司の顔でサラリとそう告げると、羽理の横へしゃがみ込んだ。
「で、羽理。お前は正直な話、どっちが食いてぇわけ? せっかくお前のために倍相課長が買ってきてくれたんだ。遠慮せず言ってみ?」
手にしていた盆を、重ね置かれたままの空っぽの皿の横に置くなり、大葉が羽理を見て眉根を寄せる。
(そ、それはあなたがっ)
と抗議したいけれど、言えば墓穴を掘りそうなのでグッと気持ちを切り替えた羽理だ。
そうして改めて箱の中を見つめて……。
つい今し方まで頭を悩ませていた大問題を口にした。
「だってだって大変なんです! 箱の中にケーキ、二つしか入ってないんですよぅ! 三人で二つのケーキをどう分けたら!?ってなるじゃないですかぁぁぁ!」
百面相のようにコロコロ表情を変えながら発せられた羽理の悲痛な声音に、さすがに申し訳ない気持ちになってしまったんだろう。
岳斗が、「すみません。もっとたくさん買って来ればよかったですね」とつぶやいて。
羽理はしゅんとした岳斗の様子に、「あああっ! ごめんなさいっ! 私、別に課長を責めたかったわけでは!」とオロオロした。
「そんなの、倍相課長だって分かってるから落ち着け。――課長も……元々羽理のために買ってきたもんだったんだろう? ややこしくなるから謝るな」
そんな二人の様子に小さく吐息を落とした大葉が、見慣れた上司の顔でサラリとそう告げると、羽理の横へしゃがみ込んだ。
「で、羽理。お前は正直な話、どっちが食いてぇわけ? せっかくお前のために倍相課長が買ってきてくれたんだ。遠慮せず言ってみ?」