あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
 羽理(うり)が目覚めると、大葉(たいよう)の姿はすでにリビングにはなくて……。

 ハッとして起き上がった羽理は、小さく悲鳴を上げてうずくまった。

「……っ!」
(イタたたた……)

 まだ股の間に何やら挟まっているような……何とも言えない違和感があって、大葉(たいよう)を受け入れたアソコの辺りが擦り傷でも負いましたかね!?と言わんばかりにヒリヒリと痛んだ。

(おしっこ、沁みちゃいそう……)

 そればかりか、腰にはズキズキとした疼痛がある上、足の付け根は情けないくらいの筋肉痛。

 オマケにはらりと布団がはがれて気が付いたけれど、スッポンポンのままではないか。

(やーん、恥ずかしいっ)

 きゅーっと身体を縮こまらせてソワソワと視線を転じた先。
 すりガラスの向こう側からキッチンを使っていると(おぼ)しき音が聞こえてきた。

大葉(たいよう)……?)

 羽理(うり)は半ば無意識に唇へそっと触れると、昨夜のあれこれを思い出して頬をポッと赤く染めた。

 ふと見下ろせば、いつの間に付けられたんだろう?
 胸のあちこちに、まるで所有痕ででもあるかのように沢山の鬱血痕(キスマーク)が散らされていた。

(ひゃー、ひゃー、ひゃー!)

 そう。昨夜のアレコレは夢なんかじゃない。
 羽理は、大葉(たいよう)とエッチなことをしたのだ。
 身体が訴えてくる不調や違和感は、全てそのせいで……。

(痛かったぁぁぁ……!)

 初めてだったからだろうか。
 大葉(たいよう)は、羽理が弱音を吐くくらい沢山ほぐしてくれたのに、彼を受け入れた瞬間の引き裂かれるような下腹部の痛みは、思わず泣いてしまうくらいに痛烈だった。

 だけど――。

 それを乗り越えた先。
 愛しい人とひとつになれた喜びは、何ものにも代え難いものがあった。

 大葉(たいよう)がくれる大人のキスは、身体の奥底がムズムズしてしまうくらい気持ちよかったし、胸に触れられるのも、信じられないくらいゾクゾクして心地よかった。
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