あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
(まだ部長のことは課長以下という認識です!)

 思わず目ん玉が飛び出そうなくらい大きな目で屋久蓑(やくみの)部長を見詰めてから、「確かに部長のお身体は筋肉の付き方とか理想的で割と好みですし、お顔も整っていらっしゃるなぁってうっとりしてますけど……ごめんなさい! 今まで接点がなさ過ぎて思いっきりアウトオブ眼中でした! これからは意識するよう心がけますので、ファン認定するのは《《今はまだ》》勘弁して下さい!」と素直に言ったら、「お前、ホント容赦ないな」と苦笑されて。

「なぁ、やたらと身体のことを指摘されたから言うんだが……この部屋エアコンが利きまくってて結構寒くないか? お前は《《下ろしたての》》バスローブ着てるから分かんねぇかも知んねぇが、俺は身体が冷えまくって湯冷めしちまってるんだが」

 屋久蓑(やくみの)部長はそこまで言ってから、羽理の三毛柄バスローブを上から下までじろりと見詰めて、何か言いたげにして。
 だけど思い直したように口をつぐんでしまった。

「あの……、言いたいことがあるならハッキリ言ってください!」

 その居心地の悪さに羽理がそう告げたら……。

「……じゃあ言わせてもらうが……荒木、お前、首の辺りがチクチクしないか?」

 チョンチョン、と首筋の辺りを指し示されて心配そうな顔をされる。

「え? 首? 別に何ともないですけど……?」

 本当に何も感じなかったのでキョトンとしたら、「そうか。ならいい……。――ところでお前、彼氏はいるのか?」とさっさと話題を変えられてしまった。

「えっ!? か、れし? って部長、もしかして……」

(――私狙いですか!?)

 まだファンにはなっていませんけれど、部長の身体も顔もかなり好みの部類に入る。

(もし今、あの身体で……じゃなくてっ、あのお顔で迫られたら私っ、ついOKしてしまいそうですっ!)

 などと思った羽理だったのだけれど。
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