あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「今の男の子、めっちゃ優しそうな顔のハンサムくんだった!」
自分のすぐ前に座る柚子が嬉しそうに声を弾ませて。
「確かにふわっとした印象の綺麗な子だったけど……貴女、既婚者なんだからもう少し節度を持った発言をなさい」
七味もその男のことをハンサムだと認めている。
基本的に彼女たち自身はもちろん、両親にしてもその弟の大葉にしてもかなり顔面偏差値は高い方なのだ。
その二人が〝いい男〟認定をする人間なんて、そうそういないだろう。
そう考えると、やっぱり今出て行った男は、倍相岳斗ではないかと思ってしまった恵介だ。
そう考えたと同時。
(もしかして……今の会話、聞かれた?)
大葉のことは〝たいちゃん〟と愛称で呼んでいたけれど、新しく財務課長に就任したばかりの人間だということは口走ったと思う。
それが屋久蓑大葉を指すのは、土恵の人間なら容易に分かることだ。
そんな大葉のことを、会社からは離れた喫茶店という立地と、可愛い姪っ子たちの前と言う気の緩みから思いっきり身内認定するような会話を繰り広げてしまっていた。
もし今のやり取りを聞かれていたら、大葉の立場が危うくなるかも知れない。
一瞬そう懸念した恵介だったが、自社の社長がいると分かっていて、いくらプライベートとは言え、すぐ横の通路を歩くのに会釈もなしに通り過ぎるというのは有り得ないかな?と考え直したのだ。
(倍相くんは新人研修の際、どこの部署の上司からの覚えも良かったし……そういうのが出来ない男じゃないはずだよね?)
自分のすぐ前に座る柚子が嬉しそうに声を弾ませて。
「確かにふわっとした印象の綺麗な子だったけど……貴女、既婚者なんだからもう少し節度を持った発言をなさい」
七味もその男のことをハンサムだと認めている。
基本的に彼女たち自身はもちろん、両親にしてもその弟の大葉にしてもかなり顔面偏差値は高い方なのだ。
その二人が〝いい男〟認定をする人間なんて、そうそういないだろう。
そう考えると、やっぱり今出て行った男は、倍相岳斗ではないかと思ってしまった恵介だ。
そう考えたと同時。
(もしかして……今の会話、聞かれた?)
大葉のことは〝たいちゃん〟と愛称で呼んでいたけれど、新しく財務課長に就任したばかりの人間だということは口走ったと思う。
それが屋久蓑大葉を指すのは、土恵の人間なら容易に分かることだ。
そんな大葉のことを、会社からは離れた喫茶店という立地と、可愛い姪っ子たちの前と言う気の緩みから思いっきり身内認定するような会話を繰り広げてしまっていた。
もし今のやり取りを聞かれていたら、大葉の立場が危うくなるかも知れない。
一瞬そう懸念した恵介だったが、自社の社長がいると分かっていて、いくらプライベートとは言え、すぐ横の通路を歩くのに会釈もなしに通り過ぎるというのは有り得ないかな?と考え直したのだ。
(倍相くんは新人研修の際、どこの部署の上司からの覚えも良かったし……そういうのが出来ない男じゃないはずだよね?)