あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
 さぁ、風呂から上がろうと扉を開けたら何故か目の前に裸の羽理(うり)がいて、何が何だか分からなくて戸惑ったのだと言う。

「っていうか普通それ、一番に聞くことだよな? 荒木、お前ホント変わってるわぁ」

 なんて、しみじみ言われたのを無視して、羽理は思わず問いかけていた。

「あのっ。部長ってもしかしてまだ童貞さんで……なおかつ魔法が使えちゃったりなんか……」

「しねぇわ! それに……童貞でもねぇ!」

 三〇歳まで童貞だと魔法が使えるようになると言うボーイズラブものの漫画を読んだことがあるけれど、どうやら部長様はそうではないらしい。

(女性経験もあるみたいだし!)

 自分から言わせたも同然なのに、眼前の美丈夫が誰かとエッチなことをしたことがあるんだと思ったら、何となくムカッとしてしまった羽理だ。

(私はまだなのに!)

 理不尽なことを思ってプンスカしている羽理をよそに、屋久蓑(やくみの)大葉(たいよう)は頭を悩ませている様子で。

「なぁ、荒木。一つ相談なんだが……」

 ややして、羽理は屋久蓑(やくみの)からコンビニで手に入るだけの身に付けられそうなものを買って来て欲しいとお願いされた。


***


 脱衣所で一旦外へ着ていけそうな服に着替えた羽理(うり)が、近所のコンビニ『セレストア』で買ってきてくれたモノは以下の通り。

 ・クルーソックス
 ・Tシャツ
 ・トランクス
 ・黒いつっかけサンダル
 ・レインポンチョ

 全て大葉(たいよう)のリクエスト通り男物のLLサイズだったのだけれど。

「ズボンはなかったのか」

「残念ながら」

 仕方なく、Tシャツとトランクスを身に着けてみたものの……。
< 30 / 368 >

この作品をシェア

pagetop