あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
26.岳斗の告白
『倍相課長、ちょっとよろしいですか?』
内線電話が鳴って、部長室に引っ込んだ屋久蓑大葉から呼び出しが掛かったのは、倍相岳斗がちょうど昔のことに思いを馳せていた時のことだった。
「はい。大丈夫です」
『でしたら仕事の切りがいいところで部長室まで来てもらえますか?』
言われて、岳斗は「かしこまりました」と答えながら、受話器を握りしめる手にグッと力を込めた。
***
「荒木羽理とのことは、しばらく社内では伏せることになった」
部長室へ入るなりすぐ、大葉からそう告げられた岳斗は、「えっ?」と間の抜けた声を発した。
「ですがそれだと――」
「まぁ聞け」
大葉に応接セットへの着座を勧められた岳斗は、言いたい言葉を飲み込んで言われた通りにする。
「キミも知っての通り俺は不愛想で通っている。だが……女性の中にはそれでもいいから俺と近付きたいなんて言う奇特な人間もわずかながらいるんだ」
吐息交じりに落とされた大葉からの言葉を聞いて、岳斗は(この人は自分を過小評価し過ぎだな)と思った。
「大葉さんは……貴方が思っている以上に人気があると思いますよ?」
現に、人事課長になっている大葉の同期、那須みのりなんかは今でも目の前の男にご執心のはずだ。
もっとも、それが高じ過ぎて大葉へのアプローチを無下にされた彼女が逆恨みして、【屋久蓑大葉は男にしか興味がない性癖の持ち主だから、どんな女性が告白してもなびかない】などと言うガセネタを流したのを岳斗は知っている。
内線電話が鳴って、部長室に引っ込んだ屋久蓑大葉から呼び出しが掛かったのは、倍相岳斗がちょうど昔のことに思いを馳せていた時のことだった。
「はい。大丈夫です」
『でしたら仕事の切りがいいところで部長室まで来てもらえますか?』
言われて、岳斗は「かしこまりました」と答えながら、受話器を握りしめる手にグッと力を込めた。
***
「荒木羽理とのことは、しばらく社内では伏せることになった」
部長室へ入るなりすぐ、大葉からそう告げられた岳斗は、「えっ?」と間の抜けた声を発した。
「ですがそれだと――」
「まぁ聞け」
大葉に応接セットへの着座を勧められた岳斗は、言いたい言葉を飲み込んで言われた通りにする。
「キミも知っての通り俺は不愛想で通っている。だが……女性の中にはそれでもいいから俺と近付きたいなんて言う奇特な人間もわずかながらいるんだ」
吐息交じりに落とされた大葉からの言葉を聞いて、岳斗は(この人は自分を過小評価し過ぎだな)と思った。
「大葉さんは……貴方が思っている以上に人気があると思いますよ?」
現に、人事課長になっている大葉の同期、那須みのりなんかは今でも目の前の男にご執心のはずだ。
もっとも、それが高じ過ぎて大葉へのアプローチを無下にされた彼女が逆恨みして、【屋久蓑大葉は男にしか興味がない性癖の持ち主だから、どんな女性が告白してもなびかない】などと言うガセネタを流したのを岳斗は知っている。