あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「倍相……。さっき社長室でも伯父に話したんだがな。俺は過ぎたことはもう気にしないって決めたんだ」
大葉の言葉に、倍相が瞳を見開く。
「大葉さん……それってつまり……」
大葉は「許す」という言葉こそ使わなかったけれど、今のセリフで課長時代にされたことは不問に付すと伝えたつもりだ。
「分からないのか? 俺はお前の言葉を信じるって言ってんだよ。――これからは羽理が幸せになれるよう、尽力してくれるんだろ?」
大葉は、あえて身内や羽理の前でするように不愛想な仮面を脱ぎ捨てて心のおもむくまま、悪戯っぽく二ッと笑ってみせる。
途端、倍相がますます戸惑ったように視線を揺らせるから……。その様がいつも取り澄ました様子の倍相からは想像がつかなくて、見ていて面白いなと思ってしまった。
「あれ? 『もちろんです』って即答してくれないのか?」
わざと揶揄うみたいにククッと笑いながら言い募ったら、倍相が泣きそうな顔をして「もちろんです」と答えて――。
「じゃ、そういうわけで……。よろしくな? ――《《岳斗》》」
大葉は岳斗に手を差し出すと、そこで〝初めて〟目の前の男のことを下の名で呼んだ。
そうしながら、大葉は岳斗にも過去を振り切って未来を見て欲しいなと希わずにはいられなかった。
大葉の言葉に、倍相が瞳を見開く。
「大葉さん……それってつまり……」
大葉は「許す」という言葉こそ使わなかったけれど、今のセリフで課長時代にされたことは不問に付すと伝えたつもりだ。
「分からないのか? 俺はお前の言葉を信じるって言ってんだよ。――これからは羽理が幸せになれるよう、尽力してくれるんだろ?」
大葉は、あえて身内や羽理の前でするように不愛想な仮面を脱ぎ捨てて心のおもむくまま、悪戯っぽく二ッと笑ってみせる。
途端、倍相がますます戸惑ったように視線を揺らせるから……。その様がいつも取り澄ました様子の倍相からは想像がつかなくて、見ていて面白いなと思ってしまった。
「あれ? 『もちろんです』って即答してくれないのか?」
わざと揶揄うみたいにククッと笑いながら言い募ったら、倍相が泣きそうな顔をして「もちろんです」と答えて――。
「じゃ、そういうわけで……。よろしくな? ――《《岳斗》》」
大葉は岳斗に手を差し出すと、そこで〝初めて〟目の前の男のことを下の名で呼んだ。
そうしながら、大葉は岳斗にも過去を振り切って未来を見て欲しいなと希わずにはいられなかった。