あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「……すみません、僕のせいですね」

「あー。いや、すまん。そういうつもりで言ったんじゃないんだ。ほら、さっきも言っただろ? 過去のことはもう割り切ってるって。――けどな、羽理(うり)のことは……。彼女のことはこれから起こるかも知れないことだろ? 俺は羽理が傷つくのだけは絶対に嫌なんだよ。だから……そこは少し慎重にいきたいんだ」

 羽理とのことをすぐさま公に出来ない理由、分かってくれたか?という気持ちを込めて岳斗(がくと)を見遣れば、彼が気持ちを切り替えたいみたいに小さく吐息を落としたのが分かった。

 ややして、
「……分かりました。ではそれを踏まえた上で、僕はお二人のことをしっかりサポートしていきたいと思います」
 そう答えてくれて、大葉(たいよう)はホッと胸を撫で下ろしたのだ。

 自分一人では穴だらけになってしまうかもしれないことも、岳斗が協力してくれれば上手く乗り切れる気がして。

 ブブッと机上に置いたままのスマートフォンが振動したのを遠目に見遣りながら、大葉(たいよう)はそんな風に思った。


***


「たいちゃんには車借りるねってメールしといたから大丈夫よ」
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