あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「まぁそれもあるんでしょうけど……だとしたら長女で、屋久蓑家(うちで)初めての子供だったななちゃんもたいちゃん並みにアルバムがあってもいいと思わない? でも実際は――」

 言いながら柚子(ゆず)が指さした作り付け棚には、【Nanami】と背表紙に書かれたアルバムが通しナンバーで【7】までしかなかった。

「私のに至ってはたったの五冊よ?」

 その言葉の通り、【Yuzu】と書かれたものは【5】までで。
 大葉(たいよう)のみ、いま羽理(うり)たちの目の前に積み上げられた小学生以降のものも合わせると、通し番号で二〇冊を越えている。
 確かに、その差は歴然だ。

 あまりの落差にアワアワした羽理に、柚子は「まぁ私は次女だったし、少なめなのは仕方ないなーとも思うのよ?」と微笑んで、「でも、ななちゃんも私も、たいちゃんと一緒に結構沢山写ってるから言うほど気にしてはいないの」と付け足した。

 アルバムへ閉じられないままになっている焼き増し分が山ほどあるのは、自分たちへの配慮もあるんだと思うよ? とカラカラ笑う柚子を見ながら、『でも、その割に大葉(たいよう)一人きりのものも結構焼き増されてませんかね!?』と思ってしまった羽理である。現に、羽理が「これも……。あと、これも!」と選んだはみ出しものたちの大半は、大葉(たいよう)単体の写真なのだ。

 羽理はその疑問を、柚子への配慮から寸でのところでグッと飲み込んだのだけれど。

「それにしても……やっぱりたいちゃんのだけ異常に多いよねー?」

 柚子がそう問いかけてくるから、羽理は『柚子お義姉(ねえ)さま、やっぱりご自分の写真が少ないの、気にしておられるのかな?』と思って、恐る恐る「はい」と答えた。
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