あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「実は私たちの写真を撮ってくれたのって、殆んどが母方の伯父なんだけどね、その伯父さんが妹――つまりは私たちの母親を溺愛してて……。たいちゃんは母親似だから無意識にシャッターを切りまくっちゃったんだと思うの」

 すぐさま「ホント、困った伯父さんなのよー」と付け加えて苦笑する柚子(ゆず)に、羽理(うり)が何気なく「伯父さまが……」とつぶやいたら、「そうなの。ほら、うちの両親商社勤めだからね、出張が多くて家を空けがちだったの。それで小さい頃は自営業を営んでる伯父さんが沢山面倒を見てくれたのよ」と柚子が補足説明をしてくれる。

 自営業……ということはその伯父様が畑を手伝っていらっしゃるということかしら? と思った羽理だったのだけれど、さっき後継者がいなくて土恵商事(うちの会社)が見ていると言っていなかったかな? と思い出して、すぐさま小首を(かし)げた。

「伯父さんってば、いっつもカメラを構える側だったから……沢山一緒にいた割に、ほとんど写真に写ってないの」
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