あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
28.裏目
岳斗が部長室を出て行ってすぐ、机へ置きっぱなしにしていたスマートフォンを手に取った大葉は、姉からの一方的なメッセージを読んで眉根を寄せた。
「車を借りるって……羽理、動けるのか……?」
そもそも愛犬キュウリのことが書かれていないのも気になるではないか。
大葉は小さく吐息を落とすと、柚子へ電話を掛けた。
***
「柚子お義姉さまは……うちの社長と縁戚なんですか……?」
先ほどからちょいちょい話に登場している〝妹さんを溺愛している伯父さん〟というのは、どうやら自社の社長・土井恵介のことらしい。
今更のようにそれに気付かされた羽理は、アワアワしながらすぐそばの柚子を見詰めた。
「んー? そうだよー? 土恵の社長は母方の伯父さんでぇーす」
「……ということは……大葉も?」
「うん、そうだねー。たいちゃんがよその子じゃない限りはそうなるねぇ♪」
わざとだろうか。いつもより間延びした口調で羽理の言葉を肯定してクスクス笑う柚子に、羽理は情報量が多すぎて処理しきれない。
「……あ、あのっ。ってことは今日大葉が社長のところへ出向くって言ってたのって……」
「多分甥っ子として、じゃないかなぁ?」
「車を借りるって……羽理、動けるのか……?」
そもそも愛犬キュウリのことが書かれていないのも気になるではないか。
大葉は小さく吐息を落とすと、柚子へ電話を掛けた。
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「柚子お義姉さまは……うちの社長と縁戚なんですか……?」
先ほどからちょいちょい話に登場している〝妹さんを溺愛している伯父さん〟というのは、どうやら自社の社長・土井恵介のことらしい。
今更のようにそれに気付かされた羽理は、アワアワしながらすぐそばの柚子を見詰めた。
「んー? そうだよー? 土恵の社長は母方の伯父さんでぇーす」
「……ということは……大葉も?」
「うん、そうだねー。たいちゃんがよその子じゃない限りはそうなるねぇ♪」
わざとだろうか。いつもより間延びした口調で羽理の言葉を肯定してクスクス笑う柚子に、羽理は情報量が多すぎて処理しきれない。
「……あ、あのっ。ってことは今日大葉が社長のところへ出向くって言ってたのって……」
「多分甥っ子として、じゃないかなぁ?」