あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
羽理は大葉がスーツをバッチリ着込んで社長室へ行くと話してくれたとき、てっきり昨日・今日と突発的に有給休暇――時間休――を頂いたことを、上司である社長へお詫びに行くんだとばかり思っていた。だが、実際は違うのかも知れない。
「もし休暇の話をしに行ったんじゃないとしたら……大葉はそんなに急いで何を話しに行ったんでしょう?」
羽理の疑問に、柚子が小さく「ああ」とつぶやいて、吐息を落とした。
「実はね、たいちゃん、伯父さんからお見合いを勧められていたの。多分その話だと思う」
ちょっぴり申し訳なさそうに眉根を寄せた柚子からそう告げられて、羽理は「えっ?」と瞳を見開いた。
(……お見、合い?)
「わ、私……大葉からそんな話、聞かされてないです」
大葉は、お見合いを打診されている状態で、羽理に求婚してきたのだろうか? だとしたら酷い! と思ってしまった。
その思いが表情に出たらしい。ほんの少し唇を尖らせて視線を下向けた羽理に、柚子が慌てて言い募る。
「あのね、羽理ちゃん! たいちゃんの性格からして話があった時点でお見合いなんて受ける気ないって伯父さんには伝えていたと思うの! けど、伯父さん、ああ見えて推しが強いから。今日はハッキリ断るために着慣れないスーツを着込んで武装して、社長室へ出向いたんじゃないかな? ――きっと、全部、ぜーんぶ羽理ちゃんと一緒にいるための行動だよ?」
そう柚子に慰められても、羽理は不安でたまらなくて……。手に入れたばかりの、幼少期の大葉がぎっしり詰まったミニアルバムをギュウッと握りしめずにはいられなかった。
「もし休暇の話をしに行ったんじゃないとしたら……大葉はそんなに急いで何を話しに行ったんでしょう?」
羽理の疑問に、柚子が小さく「ああ」とつぶやいて、吐息を落とした。
「実はね、たいちゃん、伯父さんからお見合いを勧められていたの。多分その話だと思う」
ちょっぴり申し訳なさそうに眉根を寄せた柚子からそう告げられて、羽理は「えっ?」と瞳を見開いた。
(……お見、合い?)
「わ、私……大葉からそんな話、聞かされてないです」
大葉は、お見合いを打診されている状態で、羽理に求婚してきたのだろうか? だとしたら酷い! と思ってしまった。
その思いが表情に出たらしい。ほんの少し唇を尖らせて視線を下向けた羽理に、柚子が慌てて言い募る。
「あのね、羽理ちゃん! たいちゃんの性格からして話があった時点でお見合いなんて受ける気ないって伯父さんには伝えていたと思うの! けど、伯父さん、ああ見えて推しが強いから。今日はハッキリ断るために着慣れないスーツを着込んで武装して、社長室へ出向いたんじゃないかな? ――きっと、全部、ぜーんぶ羽理ちゃんと一緒にいるための行動だよ?」
そう柚子に慰められても、羽理は不安でたまらなくて……。手に入れたばかりの、幼少期の大葉がぎっしり詰まったミニアルバムをギュウッと握りしめずにはいられなかった。