あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
あの可愛らしいアーモンドアイを涙で潤ませているとしか思えないその声音に、大葉はギュッと胸を締め付けられる。
「ああ、俺だ。なぁ羽理……」
――何かあったのか?
そう続けたいのに、羽理がグシュグシュと洟を啜りながら『今日は……社長、と何、……話し、たの?』と問い掛けてくるから。大葉はグッと言葉に詰まってしまった。
今日社長室へ出向いたのは、お節介で過保護な伯父の土井恵介へ、自分には結婚を申し込んだ女性がいるから見合いなんか出来ないとキッパリ断りを入れるために他ならなかった。
だが、そもそも受ける気なんてなかったとはいえ、自分に見合い話が持ち上がっていただなんてことを知られれば、羽理に不信感を与えるだけに思えた。
こと、その事実が消え去った今となってはなおさら、伝えなくてもいいことだろう。
大葉は羽理に要らぬ心配を掛けたくなくて、見合いを打診されていたこと自体を彼女には伏せていたのだ。それを今更告げるのは、愚の骨頂だと思った。
「別に大した話はしてねぇよ。――んなことよりお前、何で泣いてるんだ? もしかして……柚子に何かされたのか?」
「ああ、俺だ。なぁ羽理……」
――何かあったのか?
そう続けたいのに、羽理がグシュグシュと洟を啜りながら『今日は……社長、と何、……話し、たの?』と問い掛けてくるから。大葉はグッと言葉に詰まってしまった。
今日社長室へ出向いたのは、お節介で過保護な伯父の土井恵介へ、自分には結婚を申し込んだ女性がいるから見合いなんか出来ないとキッパリ断りを入れるために他ならなかった。
だが、そもそも受ける気なんてなかったとはいえ、自分に見合い話が持ち上がっていただなんてことを知られれば、羽理に不信感を与えるだけに思えた。
こと、その事実が消え去った今となってはなおさら、伝えなくてもいいことだろう。
大葉は羽理に要らぬ心配を掛けたくなくて、見合いを打診されていたこと自体を彼女には伏せていたのだ。それを今更告げるのは、愚の骨頂だと思った。
「別に大した話はしてねぇよ。――んなことよりお前、何で泣いてるんだ? もしかして……柚子に何かされたのか?」