あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「でも……部長が妖精さんじゃないってことは……えっと……つまり……普通の人間の部長がっ! 私が服にタグを付けたままだったことに気付いてこっそり外して下さってたってことですか……?」
ややしてポツンと落とされた言葉に、大葉は(メルヘン女め、やっとまともな思考回路になったか)と胸を撫でおろして。
「ああ、そういうこった。なぁ、荒木。俺があんとき首んトコ、チクチクしないか?って聞いたの、覚えてねぇか?」
そのまま吐息交じりにそう問いかけたら、そのやり取りに思い至ったらしい羽理に、ぷぅっと頬を膨らまされてしまった。
「あ、あれ、そういう意味だったんですか!? もう! もっと分かるように言ってくださいよぅ。屋久蓑部長ってば人が悪いです! ホント、ドS! 意地悪! キョコン!」
さも言わなかったことが悪いみたいに責め立てられた大葉は、(いや、言わない優しさってのもあんだろ)と心の中でひとり言い訳をして。
最後に一つ巨根とか言われた気がしたが、さすがに会社でうら若き女子社員がそんなことを口走るわけないし、気のせいだよな?とスルーすることにした。
そうして気を取り直したように
「ってことで妖精の線は消えたわけだが……ほかに何か心当たりはねぇか?」
無駄だと知りながらも、一応聞いてみた。