あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
なみなみ入ったままだったため、ピシャッと跳ねたビールが胸元を濡らして、冷たさに思わず「ひゃっ」と悲鳴を上げたと同時、テーブル越しに倍相の手が伸びてきて、濡れた胸元にお手拭きが当てられてしまう。
(きゃー、課長! 胸に手が当たってますぅ~!)
パニックに拍車がかかった羽理だったけれど、当の倍相は全く意に介した様子がなくて。
(薄っぺらすぎて膨らみに気付かれてないんですかねっ?)
真っ赤な顔をしてオロオロする羽理の様を、仁子がニヤニヤしながら見つめてきて。
羽理はもう、何が何だか分からないままに「もう大丈夫ですっ」と言いながらジョッキの中身をゴクゴクと喉を鳴らして豪快に煽った。
「あっ、羽理っ。そんなに一気に飲んだら……」
仁子の声がしたときには後の祭り。
クラクラと回る視界の中、カバンの中の携帯画面が明るく光って着信を知らせているのがふと見えた羽理だ。
時刻はそろそろ二十二時半になろうかと言う頃。
「あれぇ? 裸男が何の用《《ら》》ろぉー?」
カバンからスマートフォンを取り出して発信者の名前を確認してから、「はぁーい、もしもしぃー」と出たら、すぐ隣でその画面をのぞき込んでいた仁子が怪訝そうな顔をした。
羽理、部長室の一件の後、『屋久蓑大葉』で登録していた電話帳を、大事を取って『裸男』に変えていたのだが、それが良かったのか悪かったのか。
仁子はその着信名を見たのだ。
(きゃー、課長! 胸に手が当たってますぅ~!)
パニックに拍車がかかった羽理だったけれど、当の倍相は全く意に介した様子がなくて。
(薄っぺらすぎて膨らみに気付かれてないんですかねっ?)
真っ赤な顔をしてオロオロする羽理の様を、仁子がニヤニヤしながら見つめてきて。
羽理はもう、何が何だか分からないままに「もう大丈夫ですっ」と言いながらジョッキの中身をゴクゴクと喉を鳴らして豪快に煽った。
「あっ、羽理っ。そんなに一気に飲んだら……」
仁子の声がしたときには後の祭り。
クラクラと回る視界の中、カバンの中の携帯画面が明るく光って着信を知らせているのがふと見えた羽理だ。
時刻はそろそろ二十二時半になろうかと言う頃。
「あれぇ? 裸男が何の用《《ら》》ろぉー?」
カバンからスマートフォンを取り出して発信者の名前を確認してから、「はぁーい、もしもしぃー」と出たら、すぐ隣でその画面をのぞき込んでいた仁子が怪訝そうな顔をした。
羽理、部長室の一件の後、『屋久蓑大葉』で登録していた電話帳を、大事を取って『裸男』に変えていたのだが、それが良かったのか悪かったのか。
仁子はその着信名を見たのだ。