あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
屋久蓑(やくみにょ)部長(ぶちょぉ)、ニチ(しゃ)自動車(じろぉしゃ)のエキュストレイルとかぁ。前にお家(おぉーち)まれお送りしら時にも思いましたけろぉ、めっちゃ素敵れしゅ~。わらしが憧れれる(くりゅま)一つ(ひろつ)れすよぅ」

 運転席から出てきた屋久蓑(やくみの)が、助手席を開けてくれて「つべこべ言わずに乗れ」と押し込んでくるのを見上げながら、羽理(うり)はヘラリと笑う。

 アフターファイブの屋久蓑(やくみの)大葉(たいよう)は、髪型が少し崩れていて、会社より若干幼く見えて。
 羽理(うり)はキッチリしているより少しラフな髪型のほうが好きだなと思った。

 ただ、服装がワイシャツにスーツのスラックスのままだったから。

「まだお風呂(ふりょ)入ってなかったんれしゅかぁ? この前見た時はもっとボシャボシャな髪で可愛かったれしゅよぉ?」

 思ったままを口の()に乗せてワシャワシャと屋久蓑(やくみの)の前髪を乱したら「お前なぁ……酔い過ぎ」と呆れた顔をされてしまう。
 でもどこか嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか。

でも(れも)ぉ~、ましゃかお迎えに来て下しゃるとか……。ぶちょぉ~、ひょっとしれ、わらしのこと結構(しゅ)きれしゅかぁ~?」

「……ああ、そうかもな」

 吐き捨てるようにさらりと告げられた言葉にも気付けないまま。

 羽理は「ふふっ」と笑うと、「この前の逆れしゅねー。今日(きょぉ)屋久蓑(やくみにょ)ぶちょぉがわらしを送って下しゃるとかぁ。あー、しゃては借りを作りたくにゃいタイプれしゅね?」

 けらけらと笑う羽理に、「少し黙れ。酔っ払い」と告げてから、屋久蓑(やくみの)は車を発進させた。


***


 何故こんな風に荒木(あらき)羽理(うり)という女子社員のことが気になるのか、大葉(たいよう)自身にもサッパリ分からない。
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