あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
 手を掴まえて羽理(うり)の頭上で一纏(ひとまと)めに束ねたら、彼女に被せたバスタオルがはらりと二人の足元へ落ちた……。
 そうしてまろび出た、決して大ぶりではないけれど形の良い、それこそ大葉(たいよう)好みの羽理の胸がツンと天を突いて揺れるから。
 大葉(たいよう)は吸い寄せられるようにそこへ手を伸ばした――。

 そんな(みだ)らな想像をしてしまった大葉(たいよう)は、フルフルと首を振って危険な妄想を払いのけた。

「わらし、(おろこ)(ひろ)のココ、(しゃわ)ったの初めれれす」

 ――感動しましらっ!とわけの分からない感想を述べている羽理を見下ろしながら、大葉(たいよう)は〝初めて〟と言うところにピクンと反応する。

荒木(あらき)。お前、彼氏、いたんじゃなかったのか」

「居ましらけろ……。恋人(こいびろ)の居ら人間が(みんにゃ)自分みらいにエッチしらころあるろ思うなよぉ、屋久蓑(やくみにょ)大葉(たいよぉー)

 腕の中の羽理が、キッと大葉(たいよう)を睨んでくるのがたまらなく愛しくて。

(そうか。経験ないのか……)

 やけにホッとしてしまったと言ったら、羽理をますます怒らせてしまいそうで、大葉(たいよう)は声に出さずにその事実を噛みしめた。

「とりあえず、タオルを身体に巻け。頭は俺が拭いてやる」

「《《どらいやぁ》》もしてくれましゅか?」

「ああ、してやる」

「やったぁー。屋久蓑(やくみにょ)部長(ぶちょぉ)大好(らいしゅ)きれしゅ~♥」

 酔っぱらいの言うことなんて宛てにはならないけれど……。
 悪くないと思っている相手に〝大好き〟だと言われた大葉(たいよう)は、こういうのもいいなと思って。

 自分の頭もまだ適当にしか拭けていないけれど、腕の中の羽理のことをとことん甘やかしてやろうと思った。
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