あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
***

 結局大葉(たいよう)羽理(うり)に押し切られる形で彼女と二人、自分のセミダブルベッドで同衾(どうきん)する羽目になってしまった。

 羽理の体温を何となぁ~く右側にほこほこと感じながら……落ちない程度に思いっきり左の端っこへ寄っているのだが。

 羽理ときたら、「おやしゅみなしゃい」と言って横たわるなり、大葉(たいよう)の「ああ、おやすみ」という返事を聞くか聞かないかのうちにスースーと気持ちのよさそうな寝息を立て始めて、大葉(たいよう)は(マジか!)と思わずにはいられなかった。

 慣れない部屋で、羽理が夜中にトイレへ行こうとして転んだりしてはいけないと、シーリングライトをほんのりと薄明りになるよう設定してやったのが(あだ)になって、真っ暗でないと寝付けない大葉(たいよう)の目は冴える一方。

 オマケというか、トドメというか。薄闇に眼が馴れてくると、すぐそばで眠る羽理の寝顔がぼんやりと見えてきてしまう始末。

 だが――。

(ぶはっ。ホント抜けた顔で寝てるな、コイツ……)

 そっと身体を起こして羽理の寝顔を盗み見たら、綺麗な顔をしているくせに、ポカーンと口を開いて寝ていて妙に拍子抜けしてしまった。

(……やっぱり口閉じ忘れたカエルだな、こいつは)

 なんて思うくせに、それがたまらなく可愛く見えてしまうのだから重症だ。

 ただ、その無邪気な(?)寝顔を見て襲う気になれるか?と聞かれたら少し違うなと思って。

 大葉(たいよう)はほんの少しホッとする。
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