あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
大葉は冷蔵庫に張り付けてあったホワイトボードとマーカーを取ってくると、『お前、今、自宅にいないだろ! どこへ迎えに来させる気だ!?』と殴り書きをした。
別に大葉的には声を出して倍相に聴かれたところで一向に構わないのだが、何となく羽理のお黙り!と言う雰囲気に気圧されて筆談してしまう。
羽理はそれを見てハッとすると、「あ、あのっ。実は私……今可愛い女の子と住んでるお友達の家に泊めてもらってて……。そこ、結構会社と近いので歩いて行こうと思ってるんです」と誤魔化した。
『ああ、昨夜お迎えのあった、いつも裸って言う男の人んトコ……?』
常なら春風のような喋り方の倍相岳斗が、ワントーン落とした冷めた声音で問うてくるから。
羽理は、(あれ? 何で課長、お迎えしてくれたのが裸男だって知ってますかね?)と首を傾げつつ、「え……? あ……、はい」と答えた。
もちろん、そんなの羽理が話したからに他ならないのだが、本人の記憶からはその辺がスポンと抜け落ちているのだから仕方がない。
(こら、荒木っ! お前飲みの席で何を話した!? っていうかキュウリは確かに可愛い女の子だがっ、その言い方だとどういうシチュエーションだ!ってなるぞ!?)
通話口から漏れ聞こえてくる倍相の言葉に、一人百面相をする大葉を残して。
倍相が、それでもしつこく『会社のそばなら尚のこと拾うよ? 一緒にいる人、その感じだと別に荒木さんの《《恋人ってわけじゃない》》んでしょう?』とかやけに食い下がってくるから。
(《《まだ》》を付けろよ、倍相岳斗!)
などとモヤモヤしまくりの大葉が、怖い顔をして首を振り続けた成果だろう。
羽理は倍相からのしつこいくらいの誘惑に、どうにかこうにか打ち克ってくれたのだった。
別に大葉的には声を出して倍相に聴かれたところで一向に構わないのだが、何となく羽理のお黙り!と言う雰囲気に気圧されて筆談してしまう。
羽理はそれを見てハッとすると、「あ、あのっ。実は私……今可愛い女の子と住んでるお友達の家に泊めてもらってて……。そこ、結構会社と近いので歩いて行こうと思ってるんです」と誤魔化した。
『ああ、昨夜お迎えのあった、いつも裸って言う男の人んトコ……?』
常なら春風のような喋り方の倍相岳斗が、ワントーン落とした冷めた声音で問うてくるから。
羽理は、(あれ? 何で課長、お迎えしてくれたのが裸男だって知ってますかね?)と首を傾げつつ、「え……? あ……、はい」と答えた。
もちろん、そんなの羽理が話したからに他ならないのだが、本人の記憶からはその辺がスポンと抜け落ちているのだから仕方がない。
(こら、荒木っ! お前飲みの席で何を話した!? っていうかキュウリは確かに可愛い女の子だがっ、その言い方だとどういうシチュエーションだ!ってなるぞ!?)
通話口から漏れ聞こえてくる倍相の言葉に、一人百面相をする大葉を残して。
倍相が、それでもしつこく『会社のそばなら尚のこと拾うよ? 一緒にいる人、その感じだと別に荒木さんの《《恋人ってわけじゃない》》んでしょう?』とかやけに食い下がってくるから。
(《《まだ》》を付けろよ、倍相岳斗!)
などとモヤモヤしまくりの大葉が、怖い顔をして首を振り続けた成果だろう。
羽理は倍相からのしつこいくらいの誘惑に、どうにかこうにか打ち克ってくれたのだった。