あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
***
屋久蓑大葉の家から会社までは徒歩五分。
目的地はすぐそこ!なはずなのに、国道沿いじゃないというだけでマンションのエントランスを出た途端、「どっち方面へ向かえばいいんですかね⁉︎」と途方に暮れた羽理だ。
そんな羽理に大葉が、「お前、前に俺を車で送ってくれたよな⁉︎ そん時はどうやって自宅まで帰り着いたんだ!」と至極ごもっともな質問を投げ掛けてきて。
羽理は「カーナビの指示通りに走っただけに決まってるじゃないですかー!」と己の方向音痴ぶりを豪語した。
「あの距離でか!」
羽理の告白に瞳を見開いた大葉が、「荒木、お前、ランチタイムも一人では外に出るなよ⁉︎ 遭難するぞ!」とクソ真面目に言ってくる。
結局「仕方ねぇな」とつぶやいた大葉が、「俺の後ろをついて来い」と言ってくれて、まるで探偵気分。
羽理は仕立ての良いスーツをスマートに着こなした長身の屋久蓑の後ろを、ストーカーみたいに二メートルばかり距離をあけて歩いている。
そうしながら心の中で密かに、
(何で部長、今日は髪を下ろしてるんでしょうね⁉︎ 私のせいでセットする時間がなかったんでしょうか?)
なんて気にしていたり。
まさか酔っ払った自分が、〝キッチリ整えているよりもボサボサな髪の方が可愛い〟とか何とか言ったのを、大葉が真に受けているだなんて、微塵も思ってもいない羽理だ。
屋久蓑大葉の家から会社までは徒歩五分。
目的地はすぐそこ!なはずなのに、国道沿いじゃないというだけでマンションのエントランスを出た途端、「どっち方面へ向かえばいいんですかね⁉︎」と途方に暮れた羽理だ。
そんな羽理に大葉が、「お前、前に俺を車で送ってくれたよな⁉︎ そん時はどうやって自宅まで帰り着いたんだ!」と至極ごもっともな質問を投げ掛けてきて。
羽理は「カーナビの指示通りに走っただけに決まってるじゃないですかー!」と己の方向音痴ぶりを豪語した。
「あの距離でか!」
羽理の告白に瞳を見開いた大葉が、「荒木、お前、ランチタイムも一人では外に出るなよ⁉︎ 遭難するぞ!」とクソ真面目に言ってくる。
結局「仕方ねぇな」とつぶやいた大葉が、「俺の後ろをついて来い」と言ってくれて、まるで探偵気分。
羽理は仕立ての良いスーツをスマートに着こなした長身の屋久蓑の後ろを、ストーカーみたいに二メートルばかり距離をあけて歩いている。
そうしながら心の中で密かに、
(何で部長、今日は髪を下ろしてるんでしょうね⁉︎ 私のせいでセットする時間がなかったんでしょうか?)
なんて気にしていたり。
まさか酔っ払った自分が、〝キッチリ整えているよりもボサボサな髪の方が可愛い〟とか何とか言ったのを、大葉が真に受けているだなんて、微塵も思ってもいない羽理だ。