七夕の短冊に書いた願い事が同じでした☆。.:*・゜
 高校一年生になって、私はスーパーでアルバイトを始めた。

 夕方から閉店までの時間は、サービスカウンターのパートさんと店長を除き、ほぼ高校生のアルバイト。十人前後で、レジ、品出し、休みを割り当てられシフトは回っていた。

 家から近いところだったから同じ中学だった人たちが多い。

 歳も近くて、和気あいあいとした雰囲気だったから、すぐに仲良くなって、休みが合った人同士で遊んだりもした。

 そのバイトの中のひとりに私は恋をした。

 一歳年上の先輩。
 
 今、私は高校二年生。

 ここで一年生の春にバイトを始めた頃から、すでに彼はいて、今は六月だから、一年とちょっと同じスーパーでバイトをしていることになるのかな?

 バイトで私は主にレジをやってるんだけど、まだ始めたばかりで慣れていない頃、レジで同じ商品を二度打ちしてしまって、お客さんに二倍の金額を払わせてしまうことに。後からそれに気がついたお客さんがちょっと声を荒げながらレシートを持ってきて、私のところにきた。

 その時ちょうどサービスカウンターのパートさんがいなくて、タイミングよく彼が「どうされましたか?」って来てくれて、スムーズな神対応をして、店長がレジに来るまで助けてくれた。

 初めての経験で、閉店までずっと心が沈んでいた。

 帰る時、スーパーの裏玄関から私たちは出る。

 彼は話しかけてきた。

「元気ないけど、大丈夫?」って。
「はい。大丈夫です」って私は答えた。

 ずっと心は沈んだままだったけれど。

「ちょっと座ろうか」

 彼に誘われ、裏玄関の三段ある階段の一番下に並んで座った。

 他のみんなは帰っていく。

 彼は落ち込む私を励ましてくれた。

「人間だもん、失敗するよね!」って。
 何度も「迷惑かけてごめんなさい」って、謝りながら涙が出てきそうになった。

 その時彼は微笑みながら意外なことをしてきた。

 私のエクボを押してきた。

 ――えっ?

 突然そんなことされて、一気に沈んでいた気持ちは消えた。

 前を見ていた私は勢いよく先輩を見る。

 ものすごく、先輩がキラキラしてみえた。
 私の心の奥にある、恋のスイッチが押された。

 ――トクン。







 
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