生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
え、ちょっと待って、ってことはこれ私が届けるの?
外でならまだしも学校で?
いや〜無理でしょ。
「でも、せっかくお母さんが用意したお弁当だし……はぁ」
私は小さなため息をこぼすと、2つのお弁当を持ってうちを出た。
とりあえず学校に着いたら、渚に連絡して……。
って、私あの男の連絡先知らなかった。
渡せるチャンスがあるとすれば休み時間か4限目終了後すぐ?
あ、待てよ。朝練を終えたばかりならギャラリーも少ないんじゃない?
それならいける!そう思ったが、学校に到着したのは始業時間ギリギリ。
当然、渚にお弁当を渡す時間なんてなかった。
その後も刻々と時間だけが過ぎていき、気がつくと4限目が終了。
いつものように、椅子とお弁当を持って私の席へと来てくれたすずちゃんに「ごめん、先に食べてて。事情はあとで話すから」そう伝え、1年の教室がある1階へとお弁当片手に走った。
「来たのはいいものの……」
他学年の教室に行くのって、なんでこんなに緊張するんだろう。
たとえ、それが後輩の教室であっても。
確か、渚のクラスは【1-A】現在地から一番近い。
廊下の柱から様子を伺っていると、数名の女の子に囲まれた渚が教室から出てきた。