生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
本当は今でも……
「えっ同居………!?」
放課後、すずちゃんの家に寄った私は昨日から今日にかけて起こったことを順に説明した。
人には秘密にしろと言っておいて、自分は話すなんて。と少し罪悪感を抱いたが、今日のことを話す上ですずちゃんに嘘はつけなかった。
「……漫画みたいだね」
同じく少女漫画が好きなすずちゃん。
仲良くなったきっかけもそれだった。
「好きな男の子と同居ってどんな感じ!?やっぱりドキドキして眠れない?」
「ちょっと待って好きな男の子って?」
突如出てきた“好きな男の子”というワード。
その言葉に思わず持っていたお菓子をお皿へと戻す。
「渚くんのことだよ?」
何か間違ってる?そんな表情で私を見つめるすずちゃん。
「べ、別に今は好きじゃ……」
「ふーん、じゃあ昔は好きだったんだ?」
「あっ……」
うっかり口を滑らした私はあとになって手を口元に当てる。
そんなことをしても、もう遅いのに。
「変だなと思ったの。優しい穂波ちゃんが渚くんだけにはキツく当たるから。何かあったの渚くんと?」
「昔、付き合ってたとか?」
すずちゃんの質問は続く。
さっきまで楽しい女子会だったのに、今はまるで取り調べでも受けているのかのような気分だ。
「ううん、ただの私の片想い。1から話し始めると長くなるよ?」
私のその言葉にすずちゃんは「全然、大丈夫。飲み物とお菓子だってまだまだあるから」と言ってにっこり笑った。