生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
すずちゃんは高校に入ってから初めてできた友達で、2年生でも同じクラスになれた。
「私、また1年のときの教室行きかけたよ」
「もう2年になって2週間だよ?」
「もう一度、1年からやり直せってことなのかも。背も全く伸びないし」
すずちゃんの言葉に思わず吹き出す。
「背、関係ある?」
すずちゃんはどこか抜けていて、放っておけないタイプ。
それに加えて可愛らしい容姿、また控えめな性格から、男女問わず好かれている。
ただ、当の本人はというと極度の男嫌いで男子と必要以上に関わろうとはしない。
何度かラブレターの受け渡しを頼まれたことがあるが、どれも丁重にお断りしていた。
その真摯な姿にまた惚れられちゃうんだけど。
「あ、ねぇねぇ。そういえば穂波ちゃんって南野中学だったよね?」
「うん、そうだけど?」
「九条渚くんって知ってる?1年生の」
すずちゃんから出た名前にさっきまでの笑顔は消え、代わりに眉がピクリと動いた。
お、落ち着け……平常心、平常心。