生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
「つまり、告白する前に振られたの」
私の話を聞き終えたすずちゃんは数秒黙り込んだあと「ご、ごめん。勝手に盛り上がったりして」と謝罪の言葉を口にした。
「謝らないで。別に終わったことだし」
「でも、なんで渚くんは来なかったんだろう」
「さぁ?面倒くさくなったんじゃない。適当なところあったし」
未だにあの日のことを口にしない渚。
そもそも、私との約束なんて遠の昔に忘れているのかもしれない。
「もう……好きじゃないの?渚くんのこと」
「……正直、よくわからない。ずっと、忘れたいと思ってた。でも、一緒にいると頭の中が渚のことばかりになるの。これが恋なら厄介だね、恋って」
「穂波ちゃん……」
「あ、私そろそろ帰らないと。お母さんに卵とお醤油買ってきてって頼まれてたんだ」
私でさえ混乱している、あの壁の話はまた今度。
心の整理がついたらまた聞いてね、すずちゃん。