生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
こころとからだ、近づくふたり
同居が始まってから初めて迎えた休日。
渚は朝から部活で、そのまま遊びに行ったのか夕方まで帰って来なかった。
24時間一緒だと思って、無駄に緊張していた自分が馬鹿みたい。
……と、湯船に浸かりなが今日1日を振り返る。
『先輩は今日何してたんだろう。夜は一緒に過ごせるかな』部屋を出る前、隣から聞こえた言葉。
思い出すと何だかこっちが恥ずかしくなって、ブクブクとお湯の中に潜る。
それを繰り返すこと数回。
このままじゃのぼせてしまいそうで、ふらつく前に湯船から出た。
お風呂場から出たら、いつもどおり脱衣場に置いてあるタオルを手に取る。
「ふぅー暑ッ」
なんて独り言をつぶやいていると、右の方からガチャとドアノブをひねる音がした。
「ちょっ……!」
お母さんはいつもノックをする。
日向なら「穂波ちゃん」と言いながら走ってくるはず。
ということは……、
う、嘘、もしかして……な、渚……!?
私、今、防御力ゼロなんですけど……!
咄嗟にしゃがみ込む私、勢いよく開くドア。
その先には……、
「穂波ちゃん、お風呂上がったら一緒にアイス食べよー!」
無邪気に笑う日向の姿が。
な、なんだ日向か……。
「今日はいつもみたいに走ってこなかったの?」
「渚くんがテレビ観てたから静かにしたの日向偉いでしょ」
「偉い偉い」
おかげでこっちは変なハプニングを想像したけど。